9月7日に告示される「自民党総裁選」は、石破茂氏を抑え、安倍晋三総理の勝利が予想されている。
「もちろん安倍総理が優位なのは間違いありません。しかし、まだ100%勝負が決まったわけではありません。何が起こるかわからないのが選挙です」
と、“波乱含み”を読み解く、政治評論家の鈴木哲夫氏が続ける。
「安倍総理が国会議員票を7割固めたと言われますが、これはしょせん派閥の足し算でしかありません。細田派、二階派、麻生派の結束は強いと見ますが、一方で岸田派は割れています。出馬を予定していた岸田文雄政調会長が一転出馬を見送ったことで、『出馬して存在感を示すことで次がある。禅譲などありえない』と一部議員から不満が出ているからです。一部は石破票に回る流れ。すでに竹下派は衆院が安倍、参院が石破と2分していますが、無派閥議員に影響力を持つ菅官房長官が動けば、『石破支持』の国会議員票はかなりの底上げを図ることが見込まれる。国会議員票で負けていても、地方票では分のある石破さんには、いい勝負ができる可能性があるんです」
つまり一陣の風が吹けば、形勢は一挙に逆転となる可能性を残しているというのだ。この派閥の論理を崩せるキーマンとして名前が挙がるのが、小泉進次郎筆頭副幹事長である。
「永田町のある国会議員は『進次郎の決断は、100票を動かす影響力がある』と見積もっています。つまり進次郎氏が石破支持を打ち出せば、国会議員、地方票、合わせて100票の浮動票が流れる可能性があるわけです」(前出・鈴木氏)
前回12年の総選挙で石破候補に1票を投じた前例のある進次郎氏こそが、石破氏の最後の切り札になるというのだ。
「モリカケ問題では石破氏と同調するように安倍批判を展開したのが進次郎氏です。もちろん石破氏は進次郎氏を頼みとばかりに秋波を送り続けている。今回の総裁選では政策論争で勝機を見出そうとしていますが、公約として打ち出した『石破ビジョン』には、しっかり進次郎氏が取り組んでいる『国会改革』を盛り込んでいます。進次郎氏が石破支持を表明し、2人で街頭演説をかませば風は吹くはずです」(国会担当記者)
むろん、安倍総理がこの動きに対して指をくわえて見過ごすはずもない。安倍総理が描く「暗黒シナリオ」の全貌については、9月4日発売の週刊アサヒ芸能9月13日号で詳細にレポートしている。