秋競馬第2弾は、セントライト記念とローズSだ。菊花賞と秋華賞のトライアルレースである。
来週行われる神戸新聞杯は菊花賞の前哨戦としての色彩がより濃くなり、顔ぶれがそろうようになってきている。だが、さりとてセントライト記念も3年前にあのキタサンブラックが勝っており、またその前後の勝者がともに皐月賞馬のイスラボニータとディーマジェスティ。決して神戸新聞杯に見劣る重賞ではない。
今年のメンバーを見ても、NHKマイルC僅差2着のギベオンを筆頭に、オウケンムーン(共同通信杯)、グレイル(京都2歳S)、コズミックフォース(ダービー3着)、ジェネラーレウーノ(京成杯、皐月賞3着)、そして3戦土つかずで、ダービー馬レイデオロの弟レイエンダと、なかなかの好メンバー。目が離せない一戦だ。
しかし、この中から勝ち馬が出るとは限らない。女傑ウオッカの子タニノフランケルのほか、伏兵陣も多彩。夏を境に急成長した馬もいて、人気どおり一筋縄では収まらないのではないか。
データをひもといてみると、大きく荒れることは少ないが、それでも馬単導入後の過去16年、その馬単で万馬券になったことが5回あり、これまでの実績だけで値踏みするのは危険だ。
特に前述した有力どころは、レイエンダを除いて休み明け。本番の出走権をほぼ手中にしており、余裕残しの状態である馬が多い。
ならばここで優先出走権が得られる3着までに入線し、「ぜひとも本番へ」と力が入る馬に目をつけるのが馬券の筋と見るべきではないか。最も期待を寄せたいのは、そんな1頭、ダブルフラットだ。
ひ弱さからデビューが1月末と遅れたが、3戦目で未勝利を脱出すると、次の山吹賞でハナ差2着。
「しっかり調整できないまま使いづめで来たので、春の後半は疲れがたまっていた」(厩舎関係者)というように、続く青葉賞で大敗。しかしその後、放牧でリフレッシュさせ、成長を促したのが奏功した。
「ここにきて体が二回りほど大きくなって、思いどおりの調教ができるようになった。今後が楽しみ」(前出・厩舎関係者)
その言葉どおり、この夏で急成長し、春とは比べ物にならないほど、心身ともにたくましくなっている。1週前の追い切りも軽快かつリズミカル、まずは文句なしだった。
好位で立ち回れるレースセンスのよさが見て取れる馬だが、しまいがしっかりしてきた点も評価していいだろう。しかも、この2200メートル戦は【1】【2】【1】【2】着で、前々走の燕特別はコースレコードでの勝利だった。
祖母ブロードアピールは13勝した女傑で、近親にワグネリアン(ダービー)、一族にコロニアルウォーターズ(GIジョンA・モーリスH)、サザンサルタン(GIソードダンサーH)など活躍馬が多数いる血筋。
であるなら、十分チャンスがあっていい。走りっぷりから道悪も不安はなさそうで、晴雨にかかわらず大きく狙ってみたい。
逆転候補として注目したいのが、トラストケンシンだ。春は弥生賞、青葉賞と重賞でも差のない競馬をしているように、底力がある馬。一族にチョウカイキャロル(オークス)がいる良血で、3着以内に入るようなら本番でもおもしろい。
一方のローズSも3着以内馬に本番の優先出走権が与えられる。狙いはやはり、ここにきて頭角を現してきた「夏の上がり馬」。期待したいのはウラヌスチャームである。
身上の末脚に磨きがかかり、昇級初戦の前走は脚を余す格好でハナ差2着。スムーズなら‥‥と惜しまれる好内容だった。
今回は休み明け3戦目。さらに良化しており、オープンに伍しても十分勝ち負けになっていい。
曾祖母オプティミスティックギャルは米GI6勝の女傑。良馬場条件に狙い撃ちといきたい。