秋のGI戦は小休止。今週はGIIアルゼンチン共和国杯が東京競馬のメインとして行われる。春の目黒記念と同じく、芝2500メートルで争われるハンデ重賞だ。
その目黒記念の覇者で、それ以来5カ月ぶりとなるルックトゥワイスが最有力候補とみられているが、同2着のアイスバブル、ルメール騎手とコンビを組むアフリカンゴールド、障害王オジュウチョウサンなどクセ者ぞろいで、顔ぶれは多彩だ。
まずはデータをひもといてみよう。
02年に馬単が導入されて以降、これまでの17年間、その馬単での万馬券は5回(馬連で2回)。そう大きく荒れていないように見えるが、1番人気馬は4勝(2着2回)、2番人気馬が5勝(2着5回)で、1、2番人気馬のワンツー決着は2回のみ。ということで、順当に収まりがたい重賞であることがわかる。
年齢的には充実期にある4歳、5歳馬がよく連に絡んでいる。それに続くのが6歳馬で、過去17年で4勝(2着3回)している。このあたりは頭に入れておくべきだろう。
そして、ハンデは意外にも斤量を背負わされている馬が強い。56キロ組が最も連対を果たしており、57~58キロの馬もよく連絡みしている。実績ある力量馬を軽く見るわけにはいかない。
とはいえ、穴党としては、有力視されている人気どころを主力に据えるわけにはいかない。過去のデータに反して期待を寄せたいのは、軽ハンデ馬のトラストケンシンだ。
まだ3勝クラスの準オープン馬。前走の六社Sは、ここでも人気のアフリカンゴールドに1馬身4分の1差の2着(コンマ2秒)に敗れているが、3カ月半ぶりの実戦だったことを思うと、勝負づけが済んだと見るわけにはいかない。その前走直後、ここへの挑戦を明らかにしたように、陣営の期待度の高さがうかがい知れるというものだ。
当然、休み明けを一度使われたことで体調もアップ。1週前の追い切りの動きは、軽快かつリズミカルだった。
「展開など注文がつくが、能力は高い馬。以前のようなひ弱さはなくなったし、これからが楽しみな一頭。軽ハンデを生かしたい」
高橋文調教師は、こう言って期待のほどを口にする。ハンデは恐らく52~53キロ、ひょっとすると51キロという可能性もなくはなく、軽視は禁物である。
しかも勝ち鞍の全てが東京コース(3勝のうち2勝が芝2400メートル)で、距離を考えると、ここは力を出せる格好の舞台。やはり左回りがめっぽう得意だったチョウカイキャロル(オークス、中京記念)が近親にいる血筋で、一発があっても不思議はない。
相手の筆頭、また逆転候補とみたいのは、アフリカンゴールドだ。
こちらも厩舎期待の素質馬で、3歳時は菊花賞に挑戦したほど。トラストケンシンと同じ4歳馬で、使われつつグングンと力をつけてきている。
昇級初戦だけにハンデは53キロぐらいだろうし、1週前の追い切りも抜群。とにかくルメール騎手が手綱を取るのは、なんといっても魅力で強みだ。
西園調教師も「前走以上の好仕上がり。いきなり相手は強くなるが、そう差はないと思っている」と、ヤル気をにじませている。
名馬アフリカンストーリー(ドバイワールドC)の弟で、ダニッシュ(クイーンエリザベス2世チャレンジC)を祖母に持つ良血。父がステイゴールドということを思うと、まだノビシロは十分。大いに注目したい。