共同通信杯。これが今週のメインだ。春のクラシックの一里塚。東京が舞台ということで、ダービーをより意識している馬が集う一戦だ。よって、毎度のことながら顔ぶれがいい。
各陣営、かなりの素質馬、期待馬を送り出してきたことでもそれはわかるが、ざっと見渡して今回もクラシック候補と見られる馬は少なくない。
まずは、これまでを振り返ってみよう。馬単が導入されたのが03年。それからこれまでのレースで勝ち負けして、のちにGIを制した馬も少なくない。
昨年の勝ち馬スワーヴリチャードはダービーで2着に頑張ってみせた。明け4歳になっての今期が実に楽しみな馬である。06年の勝ち馬アドマイヤムーンは、ジャパンCを制し、海外に遠征。GIドバイターフを勝利した。他にも12年ゴールドシップ(皐月賞、菊花賞)、14年イスラボニータ(皐月賞)、16年ディーマジェスティ(皐月賞)など、ここを勝って大きく飛躍する馬は多い。
そうしたことを思うと、今年もここを踏み台に皐月賞、ダービーの有力候補に躍り出る馬がいるとの見方は間違いとは言えまい。
そう意識して顔ぶれを見てみると、なかなかの素質馬ぞろいの一戦だということがわかる。
新馬-重賞と連勝、はやばやとクラシック候補に躍り出たグレイルを筆頭に、目下連勝中のゴーフォザサミット、オウケンムーン、さらにはGIホープフルSで見せ場たっぷりに3着に突っ込んだステイフーリッシュ、未勝利を勝ち上がったばかりだが、その素質を高く評価されているブレステイキングなど多士済々だ。
いずれの馬にもチャンスがあって不思議なく、馬券的にはけっこう難しい一戦と言っていいだろう。
悩むところだが、前述した有力どころでは、おもしろくあるまい。むろん、そうした人気馬に、よりチャンスはあると思うが、そう簡単にいかないのも競馬。素質馬ぞろいとあっては、評価が低い馬に目を向けるのも一考ではないか。
穴党として期待したいのは、そんな一頭、アメリカンワールドである。
未勝利を勝ち上がったばかり。走破時計も取り立てるほどではないのだから、軽く見られてもやむをえないところ。
が、栗毛の馬体は実に美しく、あか抜けた好馬体。レースでは2、3番手につけ、ゴーサインとともに抜け出してくるセンスのよさから、これはかなりの素質馬だということがうかがい知れる。前走、未勝利を勝ち上がった際は、そうしたセンスを感じさせるもので、昇級戦のここでもやれて不思議はない。
この中間は順調そのもの。1週前の追い切りも文句なく、さらに地力強化されていることは明らかだ。であれば素質馬、強敵ぞろいのここでも十分勝負になっていい。
「外国産馬だが、デビュー前から出世してくれるだろうと期待を寄せていた素質の持ち主。さらに状態はよくなっているので、ここでも楽しみ」
こう言って藤岡健調教師はじめ、厩舎スタッフは期待を込める。ならば、こちらとしても大いに注目したいところだ。
父はターフクラシック招待などGI2勝の北米芝牡馬王者のキトゥンズジョイで、叔父にGIシューメイカーマイルS勝ちのタルコがいる血筋。馬体のよさに加え、こうした血統であれば期待しないわけにはいかないだろう。
先行できて、速いラップを踏んでもバテない力量馬。東京の1800メートルはピッタリでもある。