小池氏は知事当選後、大バクチに出た築地市場の豊洲への移転を延期した影響で、跡地に建設する地下トンネルの工事が大幅に遅れた。都心と五輪施設が集まる臨海部を結ぶ「環状2号」の完成は2022年度まで先送りされ、国民の生活に影響が出ることが避けられない事態になってしまったのだ。
「移動手段は首都高速をフル活用するしかなく、五輪期間は大会関係者を乗せた車両約6000台が行き交います。企業や都民にはなるべく車の利用を控えるように呼びかけ、首都高の一般車両が入れる料金所ゲートを減らす案が浮上。さらに交通量を減らすため、ネット通販の利用を制限することも検討されているそうです」(スポーツライター)
そうなったら通販関連事業や配送業など、企業へのダメージも少なくないだろう。五輪成功のためなら痛みぐらい我慢しろということなのか。
猛暑対策では、「打ち水ムーブメントを広めたい」とのんきなことを言っていた小池氏だが、その実情は生き残りに必死だった。
昨年秋の衆院選で大敗し、都議会でも自身が事実上率いる「都民ファーストの会」が単独過半数に届かなかったことで、求心力は低下。東京五輪には是が非でも、東京都の「顔」として出席したいところだが、任期は五輪開幕6日後の7月30日まで。そのため、恥も外聞も捨てて、すり寄りを見せている。
「春先を過ぎてから、地域密着で都民が集まるイベントに頻繁に参加しています。危機感を募らせているのか、小規模のイベントにも出て名前を売り込んでいますが、確実に再選される感触はつかめていません。知事として東京五輪を迎えるため、特例法で知事の任期を延ばす方法もあり、国会議員に根回ししようと動いています」(山村氏)
犬猿の仲と言われた組織委の森喜朗会長(81)にも、手のひらを返したようにこびを売っているという。政治部デスクがこう話す。
「森会長が制度の導入を提案する『サマータイム』について、小池氏はまったくかみつかなかった。最近では一緒の会合にも出席して融和ムードを演出しています。実は森会長は、五輪よりも来年のラグビーW杯のことで頭がいっぱいなんです。日本ラグビー協会名誉会長として、なんとしてでも成功させたい。小池知事もそれをわかっているので、『とにかく協力するように』と職員に指示を出しています」
金満組織委や自分ファーストの首長に、東京五輪を名目にして、国民は負担ばかり押しつけられそうだ。