わたくしも作家で参加させていただいている殿のレギュラー番組、毎週土曜夜の生放送「新・情報7daysニューキャスター」が、この9月で丸10年目を迎えました。そんな話題を、楽屋にて殿やスタッフとしていると、その場にいたスタッフの一人が、「たけしさんの他の番組って、どれもとんでもなく長いですよね」と、明白な事実を口にし、それがきっかけとなり、他のレギュラー番組をざっと調べてみると、「TVタックル」が29年、「世界まる見え!テレビ特捜部」が28年、「奇跡体験!アンビリバボー」が21年と、現在あるレギュラー番組のうち、半分の3本が20年を超える長寿番組であるとわかり、改めて驚愕したのでした。
そういえば、高田文夫先生が、「テレビの歴史なんてたかだか60年くらい。その半分をたけしやさんまやタモリが担ってるんだから。大したもんだ」と、発言していたのを思い出しました。しかし、改めて凄い!
で、そんな事実を殿にあてると、「どれも随分長くやってるな~」と、自身をねぎらうような表情で、当然の感想をまずは述べると、「ってことは、今までに俺はいったいいくら稼いだんだ?」と、ある意味、これはこれで当然の疑問も口にされ、さらに続けて、
「おいおい、じゃー俺はいったいいくら税金払ってきたんだ?」
と、会話を着地させたのでした。確かに、漫才ブームでドカンと世に飛び出し、売れに売れて、どの局でも冠番組をつかみ取り、あっという間にトップへと駆け上がってから現在まで約30数年。そんな殿が生涯に稼ぎ出した金額がとんでもない額であることは、数字に弱いわたくしでも容易に想像できるわけで、そういえば10年程前、あるプロ野球選手がメジャーへ移籍し、その大型契約の額に世間が驚愕していた頃、殿がポツリと、「俺も毎年、結構な大型契約だけどな」と、漏らしたことがありました。確かに! で、“殿の今日までの浮世離れした稼ぎっぷり”という話題は、今までにも何度も上がり、その都度、盛り上がってきたのですが、殿はこういった時、必ず「それはそうと、今日は割り勘な」とか「来年からいよいよ年金がもらえるのか。楽しみだな」等々“稼いでは来たけど、せこい俺”といった感じで最後は落として、ひと笑いをかっさらっていきます。
この時も、先日熊本でライブをした帰り、ふらっと殿と入った空港内のラーメン屋さんでラーメン&餃子を御馳走になり、「おい、これで払っとけ」と、会計を頼まれて済まし、「殿、御馳走様でした」とお釣りを渡すと、「やるよ。それでスケベな店でも行け」と返してきました。そのやりとりを思い出した殿は、「北郷、こないだのラーメンのお釣り、やっぱり返してくれ」と軽くボケて、最後はやはり笑いに変えていました。しかし、わたくしが案ずることでもないのでしょうが、今後、個人で殿ほど稼ぐ芸人さんなんて、出てくるのでしょうか?
ビートたけしが責任編集長を務める有料ネットマガジン「お笑いKGB」好評配信中!
◆プロフィール アル北郷(ある・きたごう) 95年、ビートたけしに弟子入り。08年、「アキレスと亀」にて「東スポ映画大賞新人賞」受賞。現在、TBS系「新・情報7daysニュースキャスター」ブレーンなど多方面で活躍中。本連載の単行本「たけし金言集~あるいは資料として現代北野武秘語録」も絶賛発売中!