「じゃーよ、年内にもう1発ライブやっとくか! おい、マネージャーに言ってよ、12月の俺のスケジュール、どっか押さえてもらえ」
つい先日、「殿、こちらがこないだのライブのDVDになります」と、9月4日に開催された「ビートたけし単独ライブinくまもと」の映像をお届けすると、ややうれしそうにディスクを受け取った殿は、
「どうだ、ビデオで見てもちゃんとウケてたか?」
と、まずは“客観的に見たライブの感想”を求めてきたのです。
「殿、映像で見直しても、どっかんどっかんウケてますね」と、改めて映像で確認した感想を正直に伝えると、「そうか」とニヤッとした殿は、続けて、冒頭の指示を出してきたのです。ただ、今から12月まではほぼ2カ月ちょっとしか時間がなく、その期間でそれなりの会場を押さえ、スタッフを手配するのはかなり厳しいため、わたくしもすぐにやりたいのは山々ですが、内心では、〈現実的に考えて、12月開催は無理だな〉といった感想を、まずは抱きました。はい。
ちなみに、たとえ会場が取れ、スタッフさんの準備ができたとしても、毎年12月はびっちり年末&正月特番の収録が入る、間違いなく1年で一番忙しい時期のビートたけしです。マネージャーに確認するまでもなく、スケジュールを取るのは大変困難なため「今年中にもう1発」は、やはり無理な相談なのです。そういった訳で、殿のやる気をそぐようで申し訳ないとは思いましたが、「殿、たぶん今からそれなりの会場を取るのは厳しいと思います。ですので、来年の1月か2月あたりの開催でどうでしょうか?」と、妥協案を提示。すると、殿は何のちゅうちょもなく「そうだな」と、すぐさま承諾し、続けて、
「だったらあれだ。新春ライブってことにしてよ、1月あたりにやるか!」
と、納得したのでした。
さらに、
「それだったらよ、今年、俺の小説がもう何冊か出るから、その本を買ったファンには、ライブのチケットを優先して取れるようにするか」
と、実に理にかなった特典を口にされたのです。
ただし、このままで終わらないのが殿です。続けて、
「でも、やっぱりあれだな。本を買ったファンには〈ライブチケットの抽選を優先する気持ちがあります〉ってやっといてよ、特に何もしないで、最後には〈本を購入された方は漏れなく、本を購入されなかったファンと同じように、一般抽選に参加できて、なおかつ定価で購入できる権利が発生いたします〉ってのをやるか!」
と、“本を購入しても、結局、何の特典もねーのか!”といった遊びを、笑いながら提示したのでした。
とにかく、地方開催となるのか? はたまた東京での開催になるのか? 1月か2月か? まだ何も決まっていませんが、とりあえず、年明け早々、かなり早い時期に「たけし単独ライブ」開催濃厚です。その際は、是非!
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◆プロフィール アル北郷(ある・きたごう) 95年、ビートたけしに弟子入り。08年、「アキレスと亀」にて「東スポ映画大賞新人賞」受賞。現在、TBS系「新・情報7daysニュースキャスター」ブレーンなど多方面で活躍中。本連載の単行本「たけし金言集~あるいは資料として現代北野武秘語録」も絶賛発売中!