実は、この点について、以前、さる官邸関係者は取材に対し、次のように答えたことがある。
「紙オムツ? 体調不良で再び辞任を余儀なくされる事態だけは絶対に許されません。この際、安倍さんには紙オムツを穿いてでもふんばってもらいます」
一方、治療薬として使い続けてきたステロイド剤についても、安倍総理はカミングアウト手記の中でこう述べている。
〈長く使いすぎると副作用も強い。顔がむくんでムーンフェイスになってしまうこともありますし、さらに骨粗鬆症のように骨ももろくなるといわれています。(中略)私の場合、発症すると腰痛も併発するのですが(編集部注・潰瘍性大腸炎は寛解期と発症期を繰り返しながら徐々に悪化していく)、入院当初は歩くこともできませんでした〉
総裁選直前、安倍総理が片足を引きずって歩いていたのは周知の事実。ステロイド剤は炎症や免疫暴走などを抑制する副腎皮質ホルモン剤だが、潰瘍性大腸炎の特効薬として有名な「アサコール」も10年近く服用し続けている。アサコールを販売しているゼリア新薬関係者の話。
「アサコールは劇的な特効薬ですが、長期間服用していると、しだいに効かなくなっていきます。その場合、皮肉なことに、下痢や腹痛や潰瘍性大腸炎の悪化といった、本末転倒の副作用が発現することもあります。現在、新薬の開発が相次いでいますが、アサコールのような画期的な薬の登場はほぼ期待できない、というのが偽らざる実情です」
要するに、安倍総理の潰瘍性大腸炎の治療は、今や手詰まり状態に陥りつつあるようなのだ。
そんな中、少なからぬ政権関係者がひそかに懸念しているのが、潰瘍性大腸炎から大腸ガンを発症する「最悪の事態」である。
実は14年の年末から15年の年初にかけて、安倍総理の主治医が慶應大学病院消化器内科教授を務めた日比紀文医師から同准教授を務める高石官均医師に交代するという、注目すべき出来事があった。事情に詳しい慶應病院関係者の指摘。
「安倍総理の健康管理を担ってきた日比医師の専門は、潰瘍性大腸炎をはじめとする炎症性腸疾患。これに対し、高石医師の専門は潰瘍性大腸炎から発症する大腸ガンで、高石医師は慶應病院の腫瘍センター長も務めています。もっとも、主治医交代とはいっても、日比医師と安倍総理との関係は今なお個人的にも深く、実質的には高石医師が主治医に加えられたというのが正確なところ。ただし、高石医師が加わったことの意味は大きく、少なくとも安倍総理の潰瘍性大腸炎に何らかの“ガン化”への兆候が見られたための起用、というのが専門家らの一致した見方になっています」
では潰瘍性大腸炎は通常、どれくらいの確率で大腸ガンへと移行するのか。この点について、消化器ガン全般に詳しい元慶應大学医学部教授は、
「ガン化の確率は潰瘍性大腸炎の罹患年数に正比例して増大していきます」
としたうえで、次のように解説するのだ。