とすれば、安倍総理が使用しているCBDサプリも法に抵触することになりはしないか。そこで、厚生労働省の担当者に尋ねてみると、次のようななんとも煮えきらない答えが返ってきた。
──CBDサプリの輸入や販売、使用は合法なのか。
「税関から厚労省に照会が来た場合、その商品が茎や種だけで作られているのであれば、法律上は問題ありません。茎や種にはTHCが含まれていませんので。葉っぱで作られているものはダメです」
──ただ、THCは完全には排除できないはずだが。
「海外では例えば『THCの含有率が0.2%以下ならいい』という基準があると聞いています。日本にはそのような基準はありませんが、THCの濃度が高いものは大麻製品に該当するので違法です。確かに、茎の外側の薄皮には多少のTHCが含まれています」
要は「微量のTHCであれば適法」ということのようだが、その厚労省が作成したパンフレットには「大麻草はTHCという人体に極めて有害な成分を含んでおり、その乱用は社会に悪影響を及ぼします」と明記されている。しかも前述したように、厚労省内からは法律の条文と現実の運用との乖離を問題視する声が上がり始めているのだ。
CBDサプリを巡るトラブルの相談を受けたことがある渋谷青山刑事法律事務所の岡本裕明弁護士も、取材に対して次のように見解を述べている。
──法的なトラブルになったケースはありますか。
「CBDサプリを輸入し税関で引っ掛かったが、どうしたらいいのか、という相談はありました。この場合、メーカーが出す証明書を税関に提出することになります。ただ、証明書があるといっても、海外で作られたものがどこまで信用できるのか。仮に当局に抜き取り調査をされ、THCが微量でも入っているとわかれば、大麻取締法に抵触するケースも出てくるでしょう」
──安倍総理もCBDサプリを使っているそうです。
「CBDサプリ自体、脱法っぽいなという気がします。大麻取締法は、大麻草の『成分』ではなく『部位』で規制しており、THCなどの違法成分が入っていないことが前提となっています。しかし、科学的に違法成分が入ってないと言えるのか。(CBDサプリを)治療目的で使うことに例外は設けられていませんので、使いたいなら法律を変えないとまずいでしょう」
事実、海外から個人輸入した顧客からは、すでに逮捕者が出ている。厚労省は取材に「CBDサプリに関する逮捕者数はわかりません」と答えているが、17年までに日本の検査会社を通じて実施された成分分析では、外国製CBDサプリから定量のTHCが検出された、との事実もあるのだ。