お笑い芸人はネタを作ってステージに立ち、観客を笑わせることからスタートする。経験を積み重ね、賞レースで勝ち抜くなどすると、人気番組からオファーが舞い込み、地位と人気と潤沢すぎるギャラを手に入れるというわけだ。
このへんで活躍の場をステージからテレビへと移す。これが既定路線だ。しかし、冠番組を何本も抱えられるほどの大物になると、演者としてはもちろん、演出家として裏方の顔も持ちたくなるようだ。ダウンタウン・松本人志は、その代表例だ。
「『ダウンタウンのガキの使いやあらへんで!』(日本テレビ系)で松本さんは、出演者であると同時に、“企画”としても名を連ねています。ガキ使は最近、平常時の視聴率こそ奮いませんが、大みそかの大型特番『笑ってはいけない』シリーズは高視聴率。ここでも演者、スタッフとして関わっているのですから、ギャラはおいしいはず」(テレビ誌ライター)
あの明石家さんまも、“企画”としても冠番組にかかわっている。28年も続いている関西ローカル長寿番組「痛快!明石家電視台」(MBS)だ。本名の杉本高文の名義で、企画を担当している。
そのさんまが、次代の名司会者として認めているのは、くりぃむしちゅー・上田晋也。上田の場合は、演者、企画、構成を担う番組を抱えている。
「BS・CSのテレ朝チャンネルで放送されている『上田ちゃんネル』です。出演者は上田さんを中心に、ピコ太郎として再ブレイクする前から古坂大魔王さん、浜ロンさん、桐畑トール(ほたるゲンジ)さん。CSテレ朝チャンネル史上最長で、今年13年目に突入しました。上田さんが仲間と好きなことをやる番組なので、メンバーは華も知名度もない者ばかりですが(笑)、人気は高いです」(前出・テレビ誌ライター)
昨年10月には、千原ジュニアがMCと企画を務める「千原ジュニアの座王」(関西テレビ)が、関西ローカルでスタート。関西の若手芸人10人が、さまざまなお題に挑戦。審査員の判定で勝者が決まる月イチのプログラムだ。芸人というより、お笑いタレントといった側面が強まった人気者となっても、業界の発展は願いながら、「企画」や「構成」という“ウラの顔”でも感性を研ぎ澄ませ、稼いでいるのだ。
(北村ともこ/写真:パシャ)