昨年、安倍総理に対する期待の高まりから、日経平均が1万円超えしたのは記憶に新しい。では、金融緩和と財政出動によるデフレ脱却政策の「アベノミクス」で、日本はどうなるのだろうか。
庶民の生活と経済の関係に詳しいジャーナリストの荻原博子氏に解説願おう。
「確かに景気はよくなるでしょう。じゃあ、庶民の懐具合も改善するかといえば、必ずしもそうではありません。というのも、景気がよくなっても給料が上がらなければ、むしろ物価が上がってますます家計にとっては苦しくなるばかりだからです。前回の安倍政権の時は、02年~08年まで続いたいざなみ景気の時期で株価は9000円から1万8000円と2倍、為替も円安でしたが、給料は下がり、企業の内部留保ばかりが拡大。加えて、低減税率廃止などの大増税で、15万円くらい家計収入が減りました。また同じことになるんじゃないでしょうか」
年間15万円もの収入減で真っ先に削られるのは夫の小遣い。もはやランチの予算が200円台になるのも時間の問題だ。
「金融緩和で円安になれば、輸入品ではこれまで以上にお金がかかります。日本が外国から買っている資源、特に生活に関わりがあるものでは、食料品やガソリンが値上がりします。アメリカが大干ばつだったうえに円安となれば、小麦粉による粉物、例えば、お好み焼きやうどん、ラーメンなどが高くなるでしょう。ガソリン代も値上がり確実でしょうね。それから電気代。これは、原発に関係なく、発電に必要な資源の燃料代が上がりますから。電気代も値上がり確実でしょう」(荻原氏)
聞けば聞くほど懐だけでなく胸まで痛くなる。何か明るい未来はないのか?
「金融資産がある人にとっては朗報。株が値上がりするわけですから。それも、金持ちにとってはの話ですけどね」(荻原氏)
結局、得をするのは金持ちばかりなのか。