2度あることは3度あった。球界事情通の間では、原辰徳監督の「ジャイアンツ復帰」は夢物語と同義だった。しかし実際には、以前にも増して球団を掌握することに成功したのだから驚くばかりである。就任早々に始まった“独裁政治”で、選手もフロントも振り回されっぱなしの内情を全公開する!
「活きがいいねえ。選手の栄養にさせてもらいます」
そう言ってまだピチピチしているイセエビを素手でむんずとつかみ、喜色満面の笑みを浮かべるのは、3年ぶりに現場復帰した原辰徳監督(60)である。巨人・宮崎キャンプの“開幕式”として恒例化した、地元の特産物贈呈式での一幕だ。現地に赴いた巨人番記者が語る。
「キャンプでも原さんはえらく上機嫌です。記者を呼びつけて1時間半以上も自分の野球観について語ったりして、口も非常に滑らか。高橋由伸前監督(43)はサービストークをまったくしない人でしたから、原稿が書きやすくて助かってます」
久しぶりの現場が楽しくてしかたない。そんな心持ちであろうことは想像に難くないが、実はそこまで無邪気にふるまうには、別の理由もあった。
「3年間という雌伏の時は、若大将にとって屈辱にまみれた時間だった」と語るのは、原監督に近い関係者だ。
「高橋さんは監督になってからも球場で筋トレにいそしんでいたらしく、原さんはそれを耳にすると『どっちが選手かわからないよね』とクサしてみたり、采配について知人に『あんなことやってちゃ勝てるわけないんだよ!』と言ってみたりと、とにかく現場への未練がありありだった。今回も、高橋解任がささやかれると、すぐにみずから売り込んだと聞いています」
球団関係者がさらに裏事情を打ち明ける。
「そもそも原さんはフロントに介入しすぎて、堤辰佳元GM(53)や桃井恒和元球団会長(71)らによって“追放”された身。ところが堤さんが成績不振の責任を取り、桃井さんも野球賭博事件の影響で辞任するなど、“反・原派”が次々に球団を去ったため、三度返り咲いた格好です。そりゃ、笑いも止まらんでしょう」
今回の露骨なまでの「身内人事」も、「独裁」をより際立たせている。川相昌弘前2軍監督(54)を筆頭に、原監督との反目がささやかれていたコーチや、高橋前監督とゆかりの深いコーチは次々、退団の憂き目にあったのだ。
「1軍コーチで残ったのは、吉村禎章打撃総合コーチ(55)だけ。プロ指導歴のない宮本和知投手総合コーチ(54)や元木大介内野守備兼打撃コーチ(46)の1軍コーチ就任が話題になりましたが、吉村コーチを含め、原氏が手がける少年野球教室で指導を手伝う仲なんです。ファームのスタッフも、杉内俊哉投手コーチ(38)のように前回の監督時に獲得したFA選手、当時活躍した生え抜きらが名を連ねています」(巨人番記者)
コーチ陣は全体的に若く、球団も表向きには、次世代の指導者を育てる“育成内閣”だと喧伝しているが‥‥。
さらに高橋前監督の愛弟子と言われた中井大介(28)に戦力外通告をするなど、グラウンド内外で徹底した「由伸色」の一掃を完遂。球団を自身の“独裁帝国”に作り変えることに成功しているのだ。