息つく暇もないほど、小池百合子東京都知事は改革の大ナタを振るっている。それゆえ、“敵”も多い都知事だが、心強い“同志”もいる。自民党所属の国会議員でありながら、選挙戦から二人三脚で歩んできた若狭勝氏である。その“都知事の最側近”を直撃。都知事の“オンナの器”の大きさを語り尽くす!
「男泣き? 都知事選の時のことですね。でも涙をボロボロこぼしたわけじゃないですよ(笑)。でも、悔しさが込み上げてきてね。言葉が詰まってしまった‥‥」
今夏の東京都知事選挙、小池百合子氏の応援演説の最中に、若狭勝氏は「男泣き」した。その姿には勝ち馬に乗ろうというような打算はなく、2人の信頼関係を感じさせる一幕でもあった。
その「男泣き」の理由は後述するが、少なくとも選挙戦が始まった時点で、若狭氏の覚悟は決まっていたのだろう。自民党の衆議院議員でありながら、党の推薦を得られなかった候補者を応援することは反党行為。除名処分を受ける可能性もあったのだから‥‥。
──小池知事を応援するには覚悟を決めていた?
「それは5年後、10年後の東京を考えると、小池さんしかいない。自民党から除名になろうとも、小池知事を誕生させるのが自分の使命だと思いました。
日本は国連から女性差別の撤廃が進んでいないと勧告を受けているのです。そうした中で、小池さんという女性が知事になれば、2020年に開かれる東京オリンピック・パラリンピックを、女性知事のもと開催する姿を世界中に見せられる。国連に対するアピールということだけでなく、女性差別撤廃の象徴になると思っています」
──女性政治家はたくさんいます。その中でなぜ小池知事なのか?
「理由はたくさんあるのですが、あえて1つあげるとすれば、アイデアが豊富なこと。これは小池さん本人の発想力がすばらしいということでしょうね。
例えば、小池さんが環境大臣の時に提唱したクールビズ。10年後の夏の風景をガラッと変えた。男の大臣だったら、ネクタイを外すなんていうことを考えられたでしょうかね。
少なくとも僕にはそんなアイデアも、その後もキャンペーンを継続させるような力はないですね」
──都民だけでなく国民が、その発想力に期待しています。ですが、現状はアイデアよりも“都政のウミ”を出す、その手腕に注目が集まっているが‥‥。
「前知事の辞任で都知事選となったのですから、当然のように都民の不信感があるわけです。情報公開が行き届かず、ともすれば都合の悪いことを隠蔽しているのではないかと。そして、都政と国政はリンクしていますから、都政不信は政治不信を招き、国政や国の行政そのものも国民から見放される。だから、小池さんが都政の抱えている問題をスッキリさせることは、日本の政治全体への信頼を醸成するためにもやらなければならないことなのです」
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若狭勝(わかさまさる)=1956年生まれ。80年中央大学卒業。同年司法試験に合格し、検事となる。東京地検特捜部副部長などを歴任し、09年に弁護士登録。14年の衆議院選挙で当選を果たす。
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ジャーナリスト:鈴木哲夫