「布川ひろき」と「みちお」によるお笑いコンビのトム・ブラウンが11月15日、都内で催された漫才日本一決定戦「M-1グランプリ2018」の準決勝に参戦し、みごと決勝への切符を確保した。そして、同大会における立ち位置については“上沼怒られ枠”との説が蔓延していると語った。
ジャルジャルやかまいたち、和牛などの実力派コンビとともに12月2日開催のファイナルステージへの出場権を手にしたトム・ブラウンだが、「1~2週間前には本当に0人の観客の前で漫才をしてました」と明かすように、その知名度はまだ低く、M-1でも優勝候補というよりは“ダークホース”的な役割を担うことになりそうだ。
布川は「聞いたところによれば、ネットでトム・ブラウンは“上沼怒られ枠”って書かれてるらしい」とも語り、決勝戦の風物詩ともいうべき審査員の上沼恵美子による強烈なダメ出しのターゲットとなる可能性をほのめかした。
「ここ数年のM-1における“ダメ出しシーン”は半分冗談のような空気感も交えながらの演出となっており、上沼の的確なアドバイスと“半ギレ風”な雰囲気を楽しめるものですが、古くをたどれば、出場芸人コンビに対してガチで説教をし、会場の空気を凍らせた故・立川談志がそもそもの元祖です。彼は02年の第2回大会でスピードワゴンに史上最低点である50点を付ける超辛口批評を展開すると、曲と小道具をふんだんに使う“踊り芸”で出場したテツandトモには、『お前らはこんな所に出てくるな』と言い放ち、続けて『オレ、褒めてんだぜ。わかってるよな?』と“談志節”を見せました。いずれも会場は神妙なムードとなって、翌年の審査員席に談志の姿はありませんでしたからね」(テレビ誌ライター)
かつての“怒られ枠”はトム・ブラウンがみずから自虐的に話せるような生ぬるいものではなく、半ば“公開処刑”のような様相を呈した地獄絵図だった。だが、現在では“怒った人間”も“怒られた人間”も翌日にはその名前がネットニュースの見出しを飾るため、中途半端な戦績で3位や4位に終わるくらいなら、ド派手な説教を食らうというのも売名を目論む戦略のひとつにはなり得るのかもしれない。
もちろん正攻法の奮闘を見せることでM-1を制覇できれば、理想的なシンデレラストーリーとはなるが、“怒られ枠”を後世に継承していくためにもトム・ブラウンには様々な意味での“大暴れ”を期待したいところである。
(木村慎吾)