我々、庶民には考えられない大金を稼ぐ、大スターや大物芸能人。彼らの食事やお酒の席は、豪勢であり、かつ独特のこだわり、粋な気遣いがあるようだ。
豪快な飲みっぷりで有名なのは、やはり故・勝新太郎さんだろう。
「銀座で飲んでいると、同じ店にいる人、道で声をかけてきた人を引き連れて、店から店へと飲み歩き、気が付くと一行は数十人にもなってしまう。飲み代は、勝新のツケになることが多く、亡くなった時には銀座の高級クラブに数千万円もの借金を残していたとも言われていました」(芸能レポーター)
しかし、亡くなったあと、妻の中村珠緒に請求書が届いたという話はほとんど聞かない。
「勝新は、馴染みのクラブのママに『こちら、○○社の社長さんよ』と、ほかのお客さんを紹介されると、『どうもどうも!』と隣に座り、座頭市になりきってセリフを言ってみたり、芸能界の裏話を話してみたりと、サービス精神満点でお客さんを喜ばせるので、紹介された人は大喜び。一発で勝新のファンになってしまうとともに、『あそこの店で勝新と飲んだんだよ!』と店の太客にしてしまう。そうやって、ツケの何倍もの利益を店に及ぼしてくれることから、請求されることはまずなかったといいます」(前出・芸能レポーター)
さらに、勝新のスキャンダルを追いかけていた雑誌記者さえ巻き込んでしまうことも多かった。
「彼らもたっぷりと楽しませたうえに、『飲んでいるかい? 自分のペースで飲めばいいんだからな』と、やさしい気遣いを忘れることがない。そんな勝新の人間力に、銀座中の水商売関係者はみんなが魅了されていたんです」(前出・芸能レポーター)
こんなにも粋で豪快な芸能人は、もう出てこないだろう。
(露口正義)