巨人・坂本勇人(24)は小中学校時代、その田中と同じ野球チームに所属していた。十数年を経て、世界を相手に再び共闘するとは思いもしなかったことだろう。
坂本は88年会メンバーの野手で断トツの出世頭だが、今大会が初めてのWBC出場となる。
昨季は173安打で同僚の長野久義(28)と最多安打のタイトルを分け合って巨人の日本一、アジア一に貢献した。
年明けには、例年どおり、阿部慎之助(33)、長野らとグアムでの自主トレに挑戦。
筆者は1月24日に開催された坂本の「ファンミーティング」で司会を務め、帰国した彼と顔を合わせたが、
「毎年この時期はこうなんですよね」
と、こんがりと日焼けした素肌を見せながら、こう話してくれた。
「体は動いてます。バットもしっかり出てるし、守備で足も動いてる。いいんじゃないですかね」
明るい表情を見せ、スリムな体形は見た目に変わらないが、体重は約3キロ増量したという。充実したトレーニングによる、パワーアップに手応えを感じている様子が伝わってきた。
明るさ、爽やかさが先に立つ坂本からは、ストイックさが想像できない。
しかし、昔から陰でバットを振り込んできた坂本は、人に見えないところで努力を重ねるタイプなのだ。
昨季の活躍で年俸も大きく上がったが、個人トレーナーと運転手をつけ、体調管理などへの意識の高さもうかがわせた。
WBCについて聞くと、
「無理して早めに仕上げてもしかたない」
としながらも、
「若干、例年より強く打ったり、投げたりやっていきます」
と静かに闘志を燃やす様子がうかがえただけに、ベストに近い状態で3月を迎えてくれると信じる。
19歳から巨人でレギュラーを張る坂本には、
「今の若い世代で中心になっていける、中心に居続けられるような選手になりたい」
という自覚があり、プロ野球界を引っ張ろうという心意気がある。
そしてその意欲は、第3回WBCにも当てはまるはずだ。
「今回は現役のメジャーリーガーがいないですよね。だから生の情報がないというか、メジャーの情報を聞くことができない、というのはありますけど」
としつつ、坂本ははっきりこう口にした。
「山本浩二監督(66)からアメリカに行こう、と言われましたけど、僕も行きたいですね。やっぱり3連覇したいです」
侍ジャパンの中心選手として、ぜひ全日本をV3に導いてほしい。