昨年22度目の日本一と初のアジアシリーズ優勝を果たした巨人からは、キャプテン・阿部のみならず、12球団最多の8人が侍ジャパン候補に選出されている。
この「8人の侍」については、巨人の球団関係者も万全を強調した。
「阿部と内海を中心としたグアムの自主トレメンバーが本当によく練習してくるので、その報道を見て、他の選手たちも刺激になっているようです。代表候補の8人に限らないけど、うちの選手たちはみんな状態がよい」
新人王、首位打者、最多安打。3年連続でタイトルを獲得した、長野久義(28)もその限りである。
平常心、マイペースで調整を進めている。
「調整のペースはいつもどおりです。自分のペースを変えずにやることが大事なんで」
そう話しながら、自主トレからじっくりと体を作ってきた。
ところで、この長野という男は、常に謙虚な姿勢を崩さない。
「これだけ結果を残してきたら、もっと大きなことを言っても大丈夫では?」
と声をかけても、こう首を振るのである。
「全然、まだまだです。たまたまです」
グアム自主トレから帰国後、WBCに向けての咆哮を聞こうとしても、
「まずはメンバーに選ばれるように頑張りたい」
と、あくまで控えめだった。そして、
「選ばれれば、すごいプレッシャーがあると思います」
と静かに口にするだけだ。とはいえ、新人の時から堂々とした態度、気持ちの強さはベテラン並みだったことを筆者は知っている。
初めてのWBCに向けて、現時点では気負いやプレッシャーをまだ見せていないが、実は以前から目指してきた舞台でもある。
入団直後はそれこそ、
「WBC、出れたらすごいですけど、僕なんかまだまだ。3連覇に臨むわけだし、とてもとても」
と案の定、首を振っていた。
しかし一昨年、首位打者を獲って、昨年3月の東日本大震災復興支援試合の台湾戦に出場すると、
「次のWBCに選ばれる選手でいたい、という思いが強くなった」
とはっきり口にしたのである。
アマチュア時代に対戦したアメリカやキューバの投手と再戦して勝ちたいという思いも強いという。
毎年個人タイトルを手にしても、常にチームの勝利だけを追い求めてきた長野。昨秋ようやく手にした日本一の次のターゲットはWBCでの世界一だ。