左腕としては球団史上初の2年連続最多勝に輝いた、エース・内海哲也(30)は前回大会の雪辱を期す。
「個人的には悔しい思い出のほうが大きい」
と、09年のWBCを振り返った。
内海は初めて代表入りしたものの、マウンドに上がったのは第2ラウンドの韓国戦1試合だけ。それも、3回途中で降板し、先発としての役割を果たすことはできなかった。
それだけに今回は捲土重来を期し、
「すごく大きな経験をさせてもらったし、今年は絶対に生かしたい」
と意気込んでいるのだ。
昨季レギュラーシーズンとポストシーズンを合わせて210投球回を超えた内海は、アジアシリーズこそ欠場したものの、11月後半から練習を再開。
恒例となった元日始動のあと、グアム自主トレで厳しい練習を積んできた成果もあって、例年以上の状態で宮崎に入った。
宮崎での一軍合同自主トレは例年、キャンプ前の調整段階のような雰囲気だが、3度もブルペン入り。すでに捕手を座らせた投球ができる状態まで仕上がっている。
「代表に入って、しっかり戦力として戦いたい。3連覇に貢献したい」
と力強く宣言。今の照準は世界一だけにしぼっているのである。
一方、同じ巨人の先発左腕でも、杉内俊哉(32)は過去大会で十分な実績を残してきた。シドニーと北京で2度の五輪にも出場しており、侍ジャパンで最も世界をよく知る男と言ってもいい。
昨季の終盤に左肩違和感で離脱したものの、現在は順調な調整ぶりをアピールし、唯一の3大会連続出場を目指している。
第1回の06年当初は滑りやすいWBC公式球に戸惑いも見せていたが、09年の前回大会では5試合に救援して6回3分の1を無失点と、完璧なまでの投球を見せた。
もちろん、その再現を狙うだけだ。
「若い頃から世界を相手にすることを目指してきた。世界大会があるのに諦めるわけにはいかない」
こう意気込みを語り、
「(昨季の)CSや日本シリーズの時とは全然違う。手応えは感じている」
と、コンディションの不安も一蹴する。心配はなさそうだ。
巨人が世界に誇る左腕はもう1人。
昨季まで5年連続60試合登板を続けている鉄人・山口鉄也(29)だ。
前回大会では4試合登板で、計2イニングを1安打無失点。相手チームの中軸左打者を抑えて役割を果たした。
今回も、「まずは選ばれるように」と、控えめな一面も見せるが、すでに本番のイメージはできている。
「選ばれれば当然、左打者に投げる機会が増えてくる。力のある打者を抑えるためには、シュートでどんどん内角を攻めていきたい」
昨季、山口は左打者に被打率1割7分4厘と圧倒した。WBCの対戦相手にも左の強打者がズラリ並ぶだけに、勝負どころでレギュラーシーズン同様の力を発揮してほしいものだ。