女性初の総理の椅子を巡って、安倍晋三総理(64)から寵愛される女性議員たちが早くも動き出した。「ポスト安倍」レースの行方やいかに。
18年10月に発足した第4次安倍内閣の目玉人事として初入閣したのは、片山さつき地方創生担当相(59)。出だしこそよかったものの、その後は奈落の底に一直線。国税庁への口利き疑惑報道や政治資金収支報告書を4回にわたって訂正するなど、臨時国会の“主役”として野党から厳しい追及にあった。
「すぐさま発行元の文藝春秋に1100万円の損害賠償を求めて提訴したことで、裁判中を理由に詳細な説明から逃れることができた。1月下旬に調整が進む通常国会でも、野党から口撃されるでしょうけど、片山側は乗り切ったと思っているようです」(政治部デスク)
それでもジリ貧であることに変わりはなく、つまずいた片山氏を尻目に動き出したのが、野田聖子前総務相(58)。臨時国会では安倍総理から「華が欲しいから」とお願いされ、女性初の衆院予算委員長を務め、勢いに乗っている。
「18年9月の自民党総裁選では、国会議員20人を集められず、立候補を断念しました。それを反省して、次の総裁選に向けてグループ作りを始めています」
ただ、思うように人数集めははかどっていなかった。政治評論家の小林吉弥氏はこう説明する。
「女性総理誕生となれば、いちばん近い人物であることは間違いありません。けれど、無派閥の野田氏が人を集めようとしても、他派の引き締めが強く、その派閥を抜け出る人はいない」
一方、14年に関連政治団体の政治資金を巡る問題で経済産業相を辞任した自民党の小渕優子氏(45)が、いつの間にか表舞台に顔を出していた。10月に党沖縄振興調査会長に就くと、11月には同調査会の幹部会を開催している。
「小渕氏には大きな後ろ盾の存在があります。“参院のドン”と呼ばれた青木幹雄元参院議員会長(84)は小渕恵三元総理(故人)と盟友で、その青木氏は竹下亘会長(72)とも親しい仲。この2人は小渕氏に期待を寄せていて、会長の座をバトンタッチしようとしているのです」(小林氏)
実は先の党総裁選でも、水面化で青木氏は小渕氏のために一肌脱いでいた。
「安倍総理が勝った場合、小渕氏が入閣できるように持ちかけたんです。安倍総理がその話を蹴ったことで、青木氏の息がかかった参院議員の票が、対抗馬の石破茂元幹事長(61)に流れた」(政治部デスク)
新内閣ではポストに就けなかったものの、小渕氏は再始動。そして、いずれ野田氏との強力タッグが誕生するというのだ。
「2人とも酒豪で知られ、ウマが合う。数年前には野田氏と小渕氏は、義兄弟の契りならぬ、“義姉妹の契”を交わし、グラスを合わせています。どちらかが総理候補として名乗りを上げた時は、お互い選挙協力する約束をしているんです」(小林氏)
とはいえ、派閥の仲間集めがうまくいかない野田氏が総理になる手はあるのか。小林氏が続ける。
「この先、自民党の支持率がガタガタになった場合、支持率を急回復させるため、派閥の枠を超えて女性総理を立ててきます。その時には、党内で人気がある野田氏を担ぐことになるでしょう」
戦意喪失中の片山氏が、もはや連合軍の対抗馬になることはなさそうだ。