昨年の年の瀬、殿のレギュラー番組の中で「今年のたけしのB級ニュース」的な企画があり、殿と“あれもありましたね。いや、これもありました”と、思いつくままに、いくつか出来事を振り返っていると、殿はうれしそうに、
「おい、いちばん驚いたのは、なぜか俺が足立区の乾麺とうどんの協会の名誉会長になってたことだよ。いつそんな返事したか覚えてねーんだけどよ、『名誉会長ですから』って、事務所に乾麺とうどんを送ってきたんだよ。俺はそんなにテレビで乾麺食ったりしてねーんだけどな。おかしいな」
と、少しばかり懐疑的な顔をして振り返ったのでした。確かに、殿が乾麺とうどんに目がないといった噂は、わたくしも正直、あまり耳にしたことがありません。
が、そこは殿です。「乾麺とうどんの名誉会長」といった肩書きをいろんな所で話題に出し、しっかりと楽しんでいました。例えば、
「今年は足立区の乾麺協会の名誉会長にもなったし、もう来年は、直木賞と芥川賞をダブルで受賞するだけだな!」
「なんてったって、乾麺とうどんの名誉会長だからな。夢は広がる一方だな(何の夢でしょうか?)!」
等々、何かとオチにつかっていました。
で、殿は昨年、他にも肩書きをすこぶる増やしています。まずNHKが立ち上げた、「日本コント協会」の会長、さらには台東区が盛り上げている「江戸まちたいとう芸楽祭」の名誉顧問にも就任しました。そんな話を殿としていると、
「ほら、まだあれがあったろ? 『アウトレイジ最終章』が。TSUTAYAでレンタル1位ってやつが!」
と、厳密に言えば肩書きではないものまで、殿の中で印象に残ったニュースとして付け足していました。
そういえば、旭日小綬章を受章したのも昨年です。
改めて、なんと幅の広い肩書きと名誉をお持ちなのでしょうか。で、そんな話を改めて殿としていると、“なぜか今、足立区のランドセルを製作している会社が、このところのランドセル人気により大忙しで、大変なことになっている”といった話題が足立区つながりで出ると、殿はさっそく、
「じゃー来年は、よくわかんねーけど、足立区のランドセル協会の名誉会長も、オファーがあれば引き受けます! って、どっかのテレビで言うか!」
と、いつものように軽くボケたのです。が、もし本当に殿がテレビでアピールした際には、
「それでは、お願いいたします」と、なりそうな気がしてなりません。ちなみに、全然関係ありませんが、昨年の9月、殿がとある番組の企画で、クイズに答え賞金をゲットした際、わたくしたち弟子が何かと「よ、賞金王!」と声をかければ、殿は「うん。俺は足立区の賞金王!」と、ノッて返していました。そんな殿は今年も、きっと何かしら、諸々と肩書きが増えていくのでしょう。改めて、ギャグでも何でもなく、足立区が生んだ「肩書き王」です。
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◆プロフィール アル北郷(ある・きたごう) 95年、ビートたけしに弟子入り。08年、「アキレスと亀」にて「東スポ映画大賞新人賞」受賞。現在、TBS系「新・情報7daysニュースキャスター」ブレーンなど多方面で活躍中。本連載の単行本「たけし金言集~あるいは資料として現代北野武秘語録」も絶賛発売中!