相撲協会にとって、唯一の日本人横綱の引退というインパクトは人気面のみならず、力士のケガのケアの問題にも波及しそうだ。スポーツ紙相撲担当デスクが明かす。
「かつて公傷制度があったが、巧みに休む力士が増えて興行面に支障をきたし廃止された経緯もあるし、平均体重が160キロを超えている今、稀勢の里のように深刻なダメージを残す可能性が高まるだけに、難しい問題です。ただガチンコ力士の悲劇で終わらせるわけにいかない」
しかし、引退したからといっても稀勢の里の戦いは終わったわけではない。引退の翌日、一部のスポーツ紙が「来年にも独立」「アキバ部屋」の見出しで、新部屋構想を報じたが、ここにも稀勢の里のガチンコ人生が透けて見える。
後援会関係者によれば、
「新部屋構想の背景にあるのは、ズバリ田子ノ浦親方との確執です。当面は年寄『荒磯』名で部屋付き親方となり、弟弟子の高安と綱取りを目指すも、本音を言えば、一日でも早く出て行きたい。候補地としてJR秋葉原駅近辺と報じられたが、実は兄と慕う西岩部屋のある浅草近辺も有力な候補地の一つです」
ただ、その前に田子ノ浦親方との確執「第2ラウンド」が待ち受けている。
「田子ノ浦親方とは、横綱昇進時の披露パーティーでも、テラ切りをめぐって不満を残す結果に。今年9月の引退相撲・断髪式では逆襲必至ですよ。最近は部屋の名前で開催しないケースもありますからね。横綱の引退であれば、2億とも3億円とも言われるほどご祝儀が集まるので、なおさらです」(協会関係者)
ガチ相撲道を貫いた稀勢の里。荒磯親方としての第二の相撲人生も、試練が待ち構えているようだ。