“土俵上での女人禁制”という伝統に関し、様々な騒動が日本列島を駆け巡った大相撲春巡業。その巡業も4月27日に終わり、いよいよ5月場所が間近に迫って来た。騒動の影響からか、ネット上では「相撲を見る気が起きない」といった声もあがっている今回の夏場所。ただ、このようなフラストレーションを本場所に持ちこむのは野暮というもの。そうした諸問題を一旦棚上げし、今場所の注目力士について触れていこう。
今場所一番の注目といえるのは関脇・栃ノ心の大関取り。1月場所で14勝1敗(平幕優勝)、3月場所では10勝5敗の成績を残していることから、今場所で9勝以上をマークすれば昇進が濃厚。仮に大関昇進を果たせば、昨年5月場所後の高安以来1年ぶりの新大関誕生となる。
大関昇進からちょうど1年、そろそろ初優勝を飾りたいのが、ケガのため今場所で7場所連続の休場となる横綱・稀勢の里と同じ田子ノ浦部屋に所属する高安。1月場所・3月場所ではどちらも“優勝次点”となる成績(12勝3敗)を残しているとあって、今場所での悲願達成も射程圏内だろう。ちなみに、もし優勝すれば「2場所連続優勝もしくはそれに準ずる成績“という横綱昇進の条件を一応満たしているという解釈もできるようになる。
優勝の可能性はさておき、今場所をステップアップの場所としたいのが関脇・逸ノ城と新小結・遠藤。先場所小結として9勝を挙げた逸ノ城は大関取りの足場固めとして、そして悲願の三役昇進となった遠藤はさらに上の地位を目指すため、ともに2ケタ勝利を目指していきたいところだ。
ここまで主に幕内上位の力士について触れてきたが、今場所は番付下位にも注目すべき点がある。番付を下から見ていくと、安美錦・妙義龍・栃煌山・豪風・碧山といった“元三役”の力士が少なくない。確かな実力を持つ彼らが幕内生き残りをかけて“サバイバル”を繰り広げるさまは、上位顔負けの熱気を生み出すことだろう。
それ以外にも、白鵬・鶴竜の横綱や2場所連続2ケタ勝利で番付を駆け上がっている前頭・阿炎、それに北海道出身力士として20年ぶりの幕内力士となった新入幕・旭大星などといった注目株がいる今回の5月場所。はたして、各力士は今場所をどのような場所にしていくのか。戦いの火ぶたが切って落とされる5月13日の初日から目が離せない。
(戸畑マサシ)