十三代目市川團十郎を襲名することが決まった市川海老蔵だが、祝福ムードをよそに梨園関係者の間では不安の声があがっている。
襲名披露興行は来年5月から歌舞伎座で3カ月連続で開催された後に全国で行われ、“3カ月で30億円”と言われた父・十二代目の襲名時の興行を上回る一大祭典になることは間違いない。しかし、その後の“新團十郎”について、将来を危ぶむ声も少なくないのだ。
「海老蔵は“十一代目の再来”とも言われている。そのため、“できればその再来は芸の上だけにして欲しい”との声があちこちから聞こえてくるんです」
こう語るのは、あるベテラン演劇記者。
海老蔵の祖父である十一代目は昭和30年代に一時代を築いた名優だが、團十郎を襲名してからは特に、トラブルメーカーとしても有名だった。
「公演のドタキャンは当たり前。他家と揉め事を起こすなど、神経質の癇癪持ちで知られていました。海老蔵は、そんな祖父の難しい部分をダイレクトに受け継いでいると言われ、8年前に西麻布で絡まれた暴行事件は、いまだに記憶から消えてはいません。妻・小林麻央の早逝や子育てで“人が変わった”と言われていますが、“團十郎に上りつめた後が心配”との声は根強いんです」(前出・ベテラン演劇記者)
そんな懸念をさらに増長させているのが、“お目付け役”の不在だ。
「父の十二代目の時には、十七代目中村勘三郎、二代目尾上松緑、七代目尾上梅幸をはじめとする“厳しいおじさんが”いましたが、海老蔵にはそれがいない。坂東玉三郎は我が道を行くタイプだし、松本幸四郎、尾上菊五郎は自分の家が第一ですからね。團十郎を襲名したとたん、周囲を振り回さなければいいのですが」(興行関係者)
眠っていた本性が現れるのか。杞憂に終わればいいが…。
(坂本市郎)