だがここで違和感を覚えた読者も多いはず。肝心の有名美女との秘話がゴッソリ抜け落ちているからだ。
その筆頭は、96年10月に月刊誌「噂の眞相」で報じられた川島なお美(52)との不倫行状。2人は北海道札幌市郊外にある渡辺氏の別荘に1泊2日旅行へと出かけ、一夜を過ごしたのだ。
その数カ月前、写真誌「フォーカス」も都内ホテル密会を激写。部屋に入って抱き合い、キスをする場面までが押さえられた。しかし、
「ドル箱作家のスキャンダルはある種のタブーであり、不倫密会写真はお蔵入りした」(写真誌関係者)
2人が道ならぬ恋に陥るきっかけは、日経新聞に連載された渡辺氏の小説「失楽園」。出版社勤務の50男と人妻書道家の愛欲を描いた問題作は、その映画化を巡ってさまざまな「主演女優」の名前が取りざたされた。文壇関係者が回想する。
「渡辺氏主催のパーティに参加した川島は積極的に渡辺氏に猛アタックした」
果敢な「営業活動」だ。
「どうにかして主役の座を取りたい一心でのアプローチであり、事務所にも相談していなかったと聞いています」(芸能ジャーナリスト・安良佳人氏)
その結果、2人は親密な関係となり、北海道不倫旅行へとつながっていく。
ところが、蓋を開けてみれば、映画の主役に納まったのは黒木瞳(52)。先の文壇関係者が明かす。
「渡辺氏は『あいつに映画なんかやらせるわけないじゃないか』と、銀座のクラブで飲んでは川島をコキ下ろしていました。愛人として認めても、女優としては認めていなかったんです。その代わり、ドラマ『失楽園』の主役を与えました」
映画、ドラマともに上映、放送は97年。だが、98年になってまた、2人の北海道不倫旅行がキャッチされた。前出・安良氏によれば、
「ドラマ放送の前後にも北海道に出かけ、『失楽園』の単行本を手に語り合っていたそうです。スケジュールを確認すると、ちょうどその日は川島のオフでした」
一定の「役目」を終えてなお、渡辺氏が川島を手放さなかったのは、
「ひとえに川島の手練手管のなせるワザ。そして川島が2年以上もつきあったのは、次の作品でも‥‥と思ったからです。が、それもかなわぬうち、川島との前からつきあっていた渡辺氏の愛人が、2人を別れさせたのです」(文芸誌編集者)