「おい、ちゃんとウケたか?」
2月25日、2時間にわたる「ビートたけし ほぼ単独ライブin仙台」をやり終え、舞台を降りた殿はすぐさま、いつものように冒頭の言葉で“その日のウケ”の確認をしてきました。「いつものように」と書いたのは、殿は単独ライブ後に毎回、必ずと言っていいほど、この確認をしてくるのです。もちろん「ウケてたか?」どころか、2時間ドッカンドッカンと笑い声に包まれたライブだったのは書くまでもございませんが、改めて、3階席までギッチリ埋まった、キャパ2300ほどの会場のお客様が一体となって繰り出す笑い声は相当な“気持ち良さ”でした。
そんな幸せな2時間のライブで、いったい殿は何をしたの? と、これを読んでいる方が知りたくなるのは当然ですが、殿の単独ライブは内容があまりにも過激なため、まったくもって中身を外に漏らせないライブであり、毎回、ライブが始まるとすぐ「絶対にツイッターなんかに、内容は書かないでください」と、釘を刺してから始めるライブなのです。そんな放送禁止ライブですが、書ける範囲で少しばかり書くと、今回は落語から始まりました。
予定どおり19時ジャスト、一度暗転し、再び舞台に明かりがさすと、そこには先ほどまでなかった、真っ赤な落語用の高座が設置されていて、間髪入れず三味線の出囃子が会場に鳴り響くと、扇子を持った着物姿の殿が登場したのです。
この時の“わっ、本物のたけしだ! 本当に仙台に来てくれたんだ”的な2300人の波打つようなどよめきと歓声は、それはそれはすごいものでした。
で、高座に上がり、ていねいにお辞儀をした殿は開口一番、「本日はなんでも、6000円、5500円、そして3000円といった席があるそうで」と切り出したのです。今回のライブは2時間でチケットの予定販売枚数が完売となったため、取れなかったお客さんの「端っこでもいいので、なんとか入れませんか?」といった、たくさんの声に応えて、やや舞台が見えにくいところを「それでもいいですか?」と念押しして急きょ開放したのが3000円の席でした。
で、殿は「6000円の席の方はどの辺? 5500円は?」といった感じで、お客さんに問いながら、手を挙げてもらうと最後に、
「じゃー3000円の席の方は? あ~そこですか。そこの貧乏席、お前たち、帰れ!」
と、しっかりと毒ガスを放り込み、ライブをスタートさせたのです。
といったわけで、ここから先はとにかく“外漏れ禁止”なため、どうかご勘弁を。ライブ後、SNS経由で〈6000円の席で観ていた者です。たけしさんが3000円の席をツッコんでいたのを見て、3000円の席の方たちがうらやましくて仕方ありませんでした〉といった内容の報告が、わたくしの元へ何通も届きました。
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◆プロフィール アル北郷(ある・きたごう) 95年、ビートたけしに弟子入り。08年、「アキレスと亀」にて「東スポ映画大賞新人賞」受賞。現在、TBS系「新・情報7daysニュースキャスター」ブレーンなど多方面で活躍中。本連載の単行本「たけし金言集~あるいは資料として現代北野武秘語録」も絶賛発売中!