政界は、まだ“貴乃花の出馬”をまだあきらめていなかった。
「今夏の参議院議員選挙が行われる頃、元貴乃花親方はすでに他のスケジュールを入れてしまいました。アメリカの大学での講師役で、もう断れないことを明言し、それが政界進出の噂を完全否定する根拠ともなりました」(スポーツ紙記者)
だが、元貴乃花親方こと花田光司氏を候補者の目玉に据えたいとする自民党は、すでに別の方法も画策していた。
花田氏の大学講師の話と前後して飛び込んできた話がある。スポーツ庁長官・鈴木大地氏の出馬説だ。元競泳日本代表選手、ソウル五輪100m背泳ぎ金メダリストの鈴木氏は15年にスポーツ庁長官に任命されたが、政治家ではない。日本水泳連盟理事など、スポーツの裏方の仕事を務めてきた。その実績を買われ、初代スポーツ庁長官に選ばれた“民間人の長官”だ。
「鈴木氏は長官として仕事を続けてきて、政治に興味を持ち始めたと聞いています。今夏の出馬もあり得ると」(政治部記者)
大臣、長官は民間人でも就任できる。出馬の話が実現すれば、与党自民党は間違いなく、「選挙の顔」となり、当選も果たすだろう。
鈴木氏を長官のまま出馬させることもできるが、目下、永田町界隈で囁かれているのが、“政治家・鈴木”は別の要職に就けるという話。東京五輪を踏まえての五輪・パラリン相入りも囁かれているのだ。その場合、新たなスポーツ庁長官を決めなければならない。後任として急浮上してきたのが、花田氏なのだ。
「昨年、日大アメフト部の暴力的指導が明るみに出て以来、与野党を問わず、学生スポーツ、部活動に関する改革を急ぎたいとする向きが強まっています。花田氏は相撲界の改革を訴えたので、彼を選ぶのは国民にもわかりやすい人事なんです」(前出・政治部記者)
そういえば、花田氏と自民党要人の会食が一部メディアで報じられた。その場で“民間から選ばれた長官”の話が出たかどうかは定かではないが、不出馬説はもう少し様子を見たほうが良さそうだ。
(スポーツライター・飯山満)