メジャーリーグで流行りの新登板スタイルが、斎藤佑樹を飛躍させそうだ。
斎藤の開幕一軍が濃厚となった。調整の一環で登板した3月23日の東北楽天戦でも2回無失点と好投した。これで実戦5試合計11イニングを投げ、失点は僅か「1」。その1点を失ったオークランドアスレチックス戦に、新しい斎藤の起用法が隠されていた。
「栗山英樹監督が先発ローテーションの一人と見ていたマルティネスが負傷し、序盤戦は使えません」(スポーツ紙記者)
その穴を斎藤で埋めるつもりなのだろう。とはいえ、ここまでの斎藤を見ていると、先発投手の調整ではない。長いイニングを投げていないのだ。しかし、リリーフのできるタイプでもない。斎藤は肩を作るのが遅く、連投も苦手と来ているからだ。そんなワガママなタイプの斎藤を生かすポジショニングが見つかった。
「昨季から、メジャーで流行り出したんですが、『オープナー』という新しい起用法ができたんです。先発投手に1、2イニングしか投げさせない継投策です」(米国人ライター)
先発投手に対し、プロ野球中継でよく使われる言葉がある。「立ち上がりが悪い」「徐々に調子を上げてきた」等々…。先発投手が初回に失点し、その後、本来の調子を取り戻すのはよくある話。しかし、序盤に失点されると試合主導権を失う。
そこで、打者一巡を目安に別投手を投げさせ、そのあとに本来の先発投手か、ロングリリーフのできる中継ぎ投手を出す新スタイルが誕生した。この短いイニングしか投げないオープナー役で斎藤を使えば、「戦力になるのではないか」というのだ。
「肩を作るのが遅くて、連投の効かない斎藤は先発投手としての調整しかできません。でも、打者2巡目からつるべ打ちされてきました」(前出・スポーツ紙記者)
18日のアスレチック戦、斎藤は2イニングを投げたところで交代となった。栗山監督は「長いイニングを投げさせてやれなかった」と申し訳なさそうに話していたが、もしかすると、“オープナー・斎藤”に手応えをつかんだのではないだろうか。今季は期待できるのでは?勝ち星もホールドポイントもつかないポジショニングではあるが。
(スポーツライター・飯山満)