日本ハムが最大11.5ゲーム差からの歴史的な大逆転をやってのけた。そこでクローズアップされてきたのが、栗山英樹監督(55)の手腕。監督どころかコーチ経験すらないままOBでもないチームの指揮官に就任し、5年で2度優勝、2度CS出場。結果を出しているのは、その奇抜とも言える発想ゆえだった。
ちまたでは今、「栗山名将説」が、しきりにささやかれ始めている。
「頑固に変えない点と、状況に応じて変化させる点の硬軟をうまくミックスさせて采配した。変えなかった部分は中田翔(27)と大谷翔平(22)を使い続けたこと。変化させたのは投手起用です」(北海道メディア関係者)
栗山監督は「中田・4番」を宣言し、腰を痛めてスイングができなかった時期を除いて、結果が出なくとも使い続けた。結果は110打点。
一方、投手起用は変化に富んだ。6月下旬に抑えの増井浩俊(32)が通用しなくなってきたと見るや、マーティン(30)との配置転換で先発に転向させ、これがハマって6勝を上げた。終盤にマーティンが階段を踏み外すという笑えないケガで離脱した際には、吉川光夫(28)を急造ストッパーに。ところが、その吉川が四球を連発するなど適性がないと判断するや、ソフトバンクとの最後の天王山では、バース(28)、谷元圭介(31)で勝利の方程式を組み、吉川は優勝がかかった9月27日の西武戦で再び先発で起用。スポーツ紙デスクは、
「142試合目となる9月28日の西武戦で優勝を決めたが、ここ一番のこの試合では大谷を投手専任にさせ、1対0で完封。大谷に関しては評論家諸氏から批判の嵐を受けながらも二刀流を続行し続け、4年目の今季は投球に負担がかかる『リアル二刀流』も解禁し、ついに開花した。7月3日のソフトバンク戦では『1番・投手』でドギモを抜き、大谷も期待に応えて先頭打者アーチ。大谷自身が『この試合がターニングポイントだった』と言っています」
ただ、この栗山采配には「えこひいき」との批判もある。
「優勝であまり問題にされなくなりましたが、斎藤佑樹(28)の起用は目に余るものがあります。あの投手に先発チャンスを二度も与えているんですから。二軍で結果を残し、一軍で中継ぎ登板してから先発、という手順を踏ませてはいますが、ボールにまったく進歩がない。もしV逸していれば大きな問題になったでしょう」(前出・北海道メディア関係者)
栗山監督はヤクルトでの現役時代、選手としてこれといった実績はない。
「だから選手には、野球理論で説得力を持たせるしかない。読書家であり勉強家です。キャンプ中の部屋は、古本屋でも開けそうなくらいに本が山積みで、キャスター時代にメジャーや日本国内の一流どころから話を聞いてきた蓄積も役に立っています」(球団関係者)