尾野真千子(37)といえば、11年下期のNHK朝ドラ「カーネーション」でヒロインを演じてブレイク。実力を認められ、順風満帆にトップ女優への道を歩んできたかと思いきや、2つの降板事件が女優生命に暗い影を落としかけていたのだ。
尾野にとって「カーネーション」は人気女優の仲間入りを果たした出世作だが、実はすでにトラブルメーカーの片鱗を見せていたのである。芸能記者が語る。
「朝ドラは主演が最後まで主人公を演じきるのが定石です。ところが尾野が演じたヒロインは晩年を迎える頃、夏木マリにチェンジ。事前の発表はなく、尾野のヒロインも高評価だったため、視聴者から苦情が殺到したといいます。モデルとなった人物サイドからの圧力など、さまざまな憶測が飛んでいましたが、本人としては苦渋の降板だったのではないでしょうか」
これは不可抗力だったのかもしれない。ところが翌年、別のドラマで決定的な降板トラブルを起こしていた。09年に64歳で亡くなった大原麗子の生涯を描いたドラマ「炎のように」(テレビ東京系)の主人公・大原麗子役が決まっていたにもかかわらず、撮影直前にドタキャンしたのだ。当時を知る制作会社関係者が語る。
「常盤貴子(46)とW主演の松本清張作品『疑惑』(フジテレビ系)の撮影が重なり、後者を優先したと聞いている。ただしテレ東のドラマは当時の所属事務所社長とプロデューサーが勝手に話を進めていて、尾野本人は出演を納得していたわけではなかったともいいます」
いずれにせよ、ダブルブッキングというわけだ。
一方、大原麗子の実弟であり、原作の監修を務めている大原政光氏はこう話す。
「スポンサー問題で降板したと聞きました。大原麗子には長らくサントリーのイメージが付いていましたが、尾野さんはキリンビールのCMに出演されてましたからね。本人の意向は関係ないかもしれませんが、それでもドタキャンはドタキャンです。やっとキャストが決まって、放送日などを決めていた時期でしたから、プロデューサーも怒っていましたよ」
訴訟騒ぎにもなり、多額の違約金を払った所属事務所は事実上の倒産寸前までに追い込まれたという。その前後に、尾野はマネージャーとともに独立しているのだ。尾野の代役は内山理名(37)が務めた。
「実在した人物を演じることは難しいうえ、視聴者の目も厳しくなるため、やりたいという役者はなかなかいません。“代打女優”として内山をつかまえられたものの、共演者のキャスティングに難航し、結局、視聴率はふるいませんでした」(制作会社関係者)
大原氏は同ドラマに強い思い入れがあった。撮影当時を振り返る。
「内山さんは撮影中に大化けし、スタッフの間では『本人が乗り移ったのでは』とも言われていました。とはいえ、尾野さんはなんとなく若い頃の大原麗子に似ているんです。64年の『幸福試験』(NHK)でがむしゃらに頑張っていた頃のイメージでしょうか。当初、プロデューサーからキャストを聞いた時、私も賛成でしたし、尾野さんの大原麗子を見てみたかった気持ちがあります」
一度入れた仕事は、なが~く愛してもらいたいものだ。