社会

“令和”特別企画「天皇125代」その謎と真実(3)後醍醐天皇が討幕の推進力に

 歴代天皇の中には推古天皇同様、圧倒的なリーダーシップを発揮、時代を動かした人物は少なくない。その一人が1333(元弘(げんこう)3)年、北条を討って鎌倉幕府を滅亡させた第96代の後醍醐(ごだいご)天皇、その人だろう。1318年(文保(ぶんぽう)2)、31歳で即位した後醍醐天皇はまず父・後宇多法皇(ごうだほうおう)(第91代天皇)を説得、天皇による親政を実現し、これにより院政が終焉した。さらに、鎌倉幕府に批判的な武家や地方の豪族を味方につけ、二度にわたって討幕計画を進めたが、いずれも失敗。天皇位を廃位されて流罪になってしまう。

 だが、後醍醐天皇はへこたれなかった。不屈の魂で島流しされた隠岐の島から脱出。足利尊氏らの協力を得て北条を討ち破り、鎌倉幕府を滅亡させ、天皇中心の朝廷による政治体制を実現させたのである。

 高森氏は「後醍醐天皇が二度の島流しにもめげず鎌倉幕府を倒したという歴史的事実が、幕末の時代変革のエネルギーになった」と指摘する。

「嘉永6年にペリーが来航し、それからわずか15年後、明治元年を迎えるわけですが、この短期間に世の中が大きく変わった背景にはむろん幕末の志士たちが藩を超え、日本国家全体のために奔走した力があった。その時彼らを励ましたのが、一度ならず二度まで島流しにあってもなお、へこたれずに鎌倉幕府を倒したという事実だった。つまり、明治維新の精神的な源流には後醍醐天皇による鎌倉幕府の討幕があったといえるのではないでしょうか」

高森明勅(たかもりあきのり)氏プロフィール:昭和32年、岡山県生まれ。國學院大學文学部卒。神道学・日本古代史専攻。日本文化総合研究所代表。著書に『この国の生い立ち』(PHP研究所)、『天皇から読みとく日本』(扶桑社)、『謎とき「日本」誕生』(ちくま新書)、『私たちが知らなかった天皇と皇室』(SBビジュアル新書)ほか多数。

カテゴリー: 社会   タグ: , , , ,   この投稿のパーマリンク

SPECIAL

アサ芸チョイス:

    なぜここまで差がついた!? V6・井ノ原快彦がTOKIO・国分太一に下剋上!

    33788

    昨年末のスポーツニュース番組「すぽると!」(フジテレビ系)降板に続いて、朝の情報番組「いっぷく!」(TBS系)も打ち切り決定となったTOKIOの国分太一。今月30日からは同枠で「白熱ライブ ビビット」の総合司会を務めることになり、心機一転再…

    カテゴリー: 芸能|タグ: , , , , |

    医者のはなしがよくわかる“診察室のツボ”<寒暖差アレルギー>花粉症との違いは?自律神経の乱れが原因

    332686

    風邪でもないのに、くしゃみ、鼻水が出る‥‥それは花粉症ではなく「寒暖差アレルギー」かもしれない。これは約7度以上の気温差が刺激となって引き起こされるアレルギー症状。「アレルギー」の名は付くが、花粉やハウスダスト、食品など特定のアレルゲンが引…

    カテゴリー: 社会|タグ: , , , , , |

    医者のはなしがよくわかる“診察室のツボ”<花粉症>効果が出るのは1~2週間後 早めにステロイド点鼻薬を!

    332096

    花粉の季節が近づいてきた。今年のスギ・ヒノキ花粉の飛散量は全国的に要注意レベルとなることが予測されている。「花粉症」は、花粉の飛散が本格的に始まる前に対策を打ち、症状の緩和に努めることがポイントだ。というのも、薬の効果が出始めるまでには一定…

    カテゴリー: 社会|タグ: , , , , |

注目キーワード

人気記事

1
上原浩治の言う通りだった!「佐々木朗希メジャーではダメ」な大荒れ投球と降板後の態度
2
【高校野球】全国制覇直後に解任された習志野高校監督の「口の悪さ」/スポーツ界を揺るがせた「あの大問題発言」
3
エスコンフィールドに「駐車場確保が無理すぎる」新たな問題発覚!試合以外のイベントでも恨み節
4
「子供じゃないんだから」佐々木朗希が米マスコミに叩かれ始めた「温室育ち」のツケ
5
日本人に大打撃!タイ政府「外国人締め出し」で長期滞在とビザ取得が困難に…そして口座凍結まで