即位の儀式をつつがなく行われた徳仁天皇。いよいよ25日に来日する米・トランプ大統領を国賓として迎え、雅子皇后とともに即位後初の外交デビューを果たすことになる。壊し屋と対峙する両陛下が、令和の新皇室を世界にアピールする。
5月26日、大相撲夏場所千秋楽を米・トランプ大統領(72)が急襲する。
「大相撲を観戦し、トロフィーも渡す」
この発言を受け、東京・両国国技館は大わらわの騒ぎとなっているのだ。スポーツ紙記者が説明する。
「当日の国技館は狙撃などから大統領を警護するため、正面の全てのマス席を協会が確保するという異例の事態となっている。そのため、贔屓スジでも別の席を確保できるのかと、争奪戦が起きている。また『土俵際で見たい』というトランプ大統領のVIP要望に応えるため、マス席に特例でイスを設置することまで検討されています」
仏・シラク元大統領、英・チャールズ皇太子とダイアナ元妃と、過去にも大相撲を観戦した海外要人の例はあったが、いずれも2階貴賓席からの観戦でトランプ氏の厚遇ぶりは明らかだ。
「トランプ氏は5月25日から28日までの4日間の滞在となりますが、その間、安倍総理との首脳会談、千葉でのゴルフ、北朝鮮拉致被害者との面会、海上自衛隊の視察など、行事がめじろ押し。あまりのすし詰め日程で、全てのスケジュールを無事にこなせるか疑問視する声も出ています。中でも最も注目すべきイベントが、天皇・皇后両陛下との面会になります。新天皇・皇后にとっても、この面会が初めて国賓を迎える大事な海外デビューとなるからです」(政治部デスク)
皇室に詳しい作家の北一策氏が、海外から見た天皇像について語る。
「日本人は、天皇は『日本国の象徴』としてごく自然に考えている。しかし、海外、こと世界の為政者は天皇陛下に対し強烈な畏敬の念を抱いています。ユダヤ暦、イスラム暦など西暦以外の暦法を使用する国、民族は諸外国にもありますが、一世一元の制を存続させているのは日本だけです。『時の流れ』を支配する天皇が交代したことで、世界のトップは何かが変わると注目しているのです」
国際ジャーナリストの山田敏弘氏もこれに同意して、
「天皇は英語でエンペラーと呼ばれる特別な存在。権力の権化と認識されている。ロシアの最高権力者プーチン大統領でさえ、何度も謁見を願い出ているが、いまだにその願いはかなえられていません」
しかし、トランプ氏はすでに17年11月、大統領として初来日し、明仁天皇(現上皇)夫妻と面会を果たしている。
その際、赤坂御所で出迎えた天皇陛下に対し、お辞儀もせず、背中をポンポンと叩くようなしぐさをしたことで一部では「失礼だ」と物議を醸したこともあった。東京新聞論説委員の五味洋治氏が解説する。
「09年に初来日したオバマ前大統領は天皇陛下に深々と最敬礼しました。反オバマのトランプ氏はその真逆をやったわけです。トランプ氏は金正恩朝鮮労働党委員長との会談でも、自分の手を上から押しつけて握手することで、交渉を自分のペースで進めようとした。さすがに今回、天皇に対して、そこまで大それたことはしないはずですが‥‥」
とはいえ、アメリカファーストを唱える唯我独尊の男だけに、何をしでかすやら──。