「変なおじさん」が超大国のトップとなり、あらゆる世界が割れようとしている。緊密な関係にあるアメリカの政治“事変”に永田町も大揺れとなり、発生した「新大統領利権」を我が物にするべく駆け引きが始まった!
09年にアメリカ民主党のバラク・オバマ氏(55)が大統領に就任してから実に8年ぶりに共和党への政権交代となった。そのトップに座るのが、ドナルド・トランプ氏(70)だ。
「アメリカがくしゃみをすれば、日本がカゼをひく」
こんな格言が生まれた高度経済成長期以来、緊密な日米関係。だが、異端児の逆転勝利によって生まれた新たな「利権」を巡って、早くも永田町は“カゼ”どころか、“肺炎”レベルの大騒ぎとなっている。
まず手をあげたのは、衆議院議員の亀井静香氏(80)。政治部記者が明かす。
「今年春頃から接触を試みて、投票日前日の7日に面会の約束を取り付けました。6日に羽田を出発しましたが、ニューヨークのトランプタワーで待たされるだけでした。当選確実となったので、日本の現政権に発言力を持たない人と会っている時間はないということでしょう」
その亀井氏は日刊ゲンダイの単独インタビューに、「晋三とはウマが合うんじゃないか」と答えた。「トランプ旋風」を使って消えかかった存在感を何とかしたい意図がミエミエである。
一方、安倍晋三総理(62)は11月17日のトランプ氏との会談を前に、「私はトランプ氏との直接の接点はない」と明かしている。
9月19日には、ヒラリー・クリントン氏とだけ面会。「トランプ新大統領」は、政権にとって想定外だったように複数の媒体で報じられているが、官邸の動静にも詳しい経済評論家の渡邉哲也氏が解説する。
「『ヒラリー会談』は米与党から望まれたもので、日本の総理が断るはずがありません。外務省は『ヒラリー勝利』を最後まで予想していました。しかし歴代自民党は共和党とのパイプが太い。官邸が水面下で動いて、17日という早い段階での面会が実現しました」
この中心になった人物こそ、麻生太郎副総理兼財務大臣(76)である。本来、交渉役として白羽の矢が立ったのは、ロシアのプーチン大統領(64)とパイプを持ち、東京五輪組織委員会長という肩書を持つ森喜朗氏(79)だった。
「森氏の体調がすぐれないこともあり、麻生氏となりました。年齢のこともあり、麻生氏は今期での引退を考えていましたが、トランプ大統領誕生によって、もう1期引き延ばす方針です」(前出・政治部記者)
「麻生-共和党」パイプの礎となっているのがアメリカにある「戦略国際問題研究所」で、通称「CSIS」。米陸軍を含む、国家安全保障グループとのつながりが強いシンクタンクである。