防衛問題に関しては、日本は米軍の庇護の下にあるのが現実だ。日米安保の不公平性を見越し、トランプ氏は大統領選の演説で「在日米軍費用を日本が全額負担しなければ撤退」とまでブチ上げた。藤澤氏は危機感を募らせる。
「トランプ氏の言うとおり、本当に日米安保条約が解消されたら大変なことになる。平和ボケした日本人は簡単に『沖縄の基地反対!』などと言うが、実際に今、米軍が日本から撤退すれば、それをいいことに、一気に中国がやって来る。しかし戦後71年を迎え、日本はいつまでアメリカに守ってもらわなければいけないのか。反米でも親米でもなく、対等な立場での日米同盟が望ましい。そのためには日本は自主憲法を制定し、憲法9条を破棄して国防軍を作り、自分の国は自分で守るという当たり前のことをすべきです」
強引に集団的自衛権行使を進めた安倍政権は、次は改憲に踏み込むのか。
「誰も戦争をしたいと言っているわけではないのに、新聞マスコミはいつの間にか、安保法制=戦争法案だということにしてしまったのがおかしい。戦争ができる国というのは普通の国。戦争のできない国なんてどこにもない。さらにおかしいのは、安倍総理だけが改憲論者のように言われているが、自民党は結党以来の理念として、第一に憲法改正を掲げている。自民党員であるならば、憲法改正を言うのは当たり前。ですから、本来は参院選でも憲法改正をハッキリ争点にすべきです」(蜷川氏)
決められない政治のカンフル剤として「トランプ大統領」を待望するのは、横山氏だ。
「これまでのアメリカは自国の軍隊が巨額の負担を強いられても、東アジアで力を誇示するために日本に軍隊を駐留させるというのが本来的な立場だったはず。ところが、トランプが全てやめたと言えば、日本人はおのずと自主防衛論に目覚めることにつながる可能性がある。平和ボケした日本は(イギリスのような)王政の国を見習い、今こそ国の誇りを取り戻すべき」
最後に、前出・蜷川氏は日本人がグローバリズムに飲み込まれないための方策を、こう授けた。
「もちろん日本独自の軍隊を持つべきなのは言うまでもないが、現実的には難しい。それでも反米ではなく脱米、アメリカからの依存度を低くすることが望ましい。故・野村秋介は遺作『さらば群青』の中で、日米安保の庇護の下、日本人はかつての敵国に日本の安全を委ねた『まやかしの平和主義』と『魂のない繁栄』などを『五つの敵』とし、日本の経済発展は砂上の楼閣にすぎないと批判している。今こそ三島由紀夫や野村秋介のように、利害もなく国のために散った人間の言葉に耳を傾ける時なのです」
世界が混迷の時代を迎えつつある今こそ「先人の言葉」も、安穏たる平成の世に染みてくるのかもしれない。