テレビ東京としては異例の視聴率2ケタを連発し、局を代表する番組になった「ローカル路線バス乗り継ぎの旅」。太川陽介と蛭子能収のコンビは、蛭子の体の衰えを理由に引退。俳優の田中要次と作家の羽田圭介にその座を譲った。だが、新コンビは評判も視聴率もいまひとつで、今年5月、太川と蛭子がバス旅に復帰した。
復帰にあたり、新たなルールが追加されている。それは「上限1万円までならタクシーを利用できる」というもの。蛭子の体に配慮した結果だ。このルールがバス旅に思わぬ影響を及ぼしている。
「1万円あれば距離にして30キロ前後はタクシーに乗ることができます。30キロも乗れれば、これまでとはまったく違うルート選択が可能になってしまう。バスのルート選びが旅を成功させるカギだったのに、新ルールのせいでタクシーをどう利用するかが重要になってしまいました。これでは『ローカル路線バス乗り継ぎの旅』とは言えないという声が上がっています」(テレビ誌ライター)
6月6日と13日の2回に分けて放送された「高尾山からめざせ諏訪湖」ではタクシーを、藤野駅から上野原駅まで、四方津駅から鳥沢駅、新中橋から甲斐大和駅、山口スクールバス停から小淵沢駅までと、計4回9970円分も使っている。
「おそらく番組制作サイドは、歩かなくてはいけない区間で緊急避難的にタクシーを使わせようとしたのだと思います。ですが、そこは旅慣れた太川ですから、タクシー利用を前提としたルートを選ぶようになりました。徒歩なら絶対に選ばないルートです。こうしてタクシーを軸としたルート選択になり、さながら『タクシー乗り継ぎの旅』といった内容になってしまったんです」(前出・テレビ誌ライター)
16日放送の最後には、太川がそれを認める発言をしている。小淵沢駅で失敗が確定した後、太川は「どこかでボクがミスをしたんですね」と謝罪、続けて「タクシーの使い方だな」と話した。
「タクシー利用は他にも悪影響を及ぼしています。タクシーはバスと違って他の乗客がいません。バス旅の魅力のひとつが、バスの車内でのふれあいにありました。それが減っているわけです。バス旅の日程が3泊4日から1泊2日になり、ただでさえ『内容が薄くなった』と言われているのに、ふれあいまで減っては視聴者が離れてしまうかもしれません。ちなみにこれまでの放送では、番組の最後に乗ったバスの本数と乗車距離、バス料金の合計が表示されたんですが、今回はありませんでした。内容の薄さを隠したかったのか、あるいはタクシー旅になってしまったことを隠したかったのか。その両方かもしれません」(前出・テレビ誌ライター)
新たなバス旅は今後どうなるのか。そして田中と羽田の新コンビのバス旅はあるのか。今後のローカル路線バス乗り継ぎの旅に注目が集まっている。