蛯名正義と四位洋文といえば、大レースを数多く勝利したベテラン騎手。しかし近年はリーディングの上位に顔を出すこともなくなり、“引退秒読み”が囁かれている。
昨年を見れば、蛯名は32勝で33位、四位も18勝で51位と、ベスト20にも顔を出していない。今年も7月28日現在で蛯名が9勝、四位が6勝という有り様だが、それも当然の話で、なにしろ騎乗数が激減しているのだ。7月27日、28日に至っては蛯名が2鞍、四位に至ってはゼロの状況。ただし、こうした状況には理由がある。
「2人は、二度目となる秋の調教師免許試験に備えて勉強を優先させているんです。すでにエージェント契約も解消し、時間のある限り競馬法規や労働基準法、獣医学や衛生学について猛学習している。厩舎関係者もそれを理解していることから、騎乗依頼をしないんです」(トラックマン)
その勉強の成果が出る可能性は大だともっぱらだ。
「武幸四郎や中舘英二なども、二度目の試験で合格していますからね。双方、試験のデキについて公言はしていませんが、後になって『周囲の空気から今度は受かると信じていた』と語っている。そんな彼らより実績もネームバリューもある蛯名と四位が、再度試験に落ちることは考えづらい。競馬関係者も調教師になる日を心待ちしている状況で、いずれにせよ、引退の日が近いと言われているんです」(前出・トラックマン)
調教師になった暁には、馬を送り出す側の立場で競馬界を大いに盛り上げて欲しいものだ。
(競馬ライター・兜志郎)