テリー 2年前に前立腺ガンの再発を公表されていますが、最近の体調はいかがですか。
西郷 おかげさまで、すごくいいです。ガンが骨に転移して、ステージ4なんですけれど、数値も驚異的に下がって、自分でも「あれれ?」と思うほどです。
テリー 日常生活には支障がない感じですか。それはよかった。
西郷 だからといって、消えたわけじゃないですし、自宅では半分療養中みたいな感じなんですが、もう気にするのはやめました。70歳も過ぎましたし、そもそも自分の細胞が変わっただけですからね、これはもう一緒に暮らしていくしかないんです。かなり痩せちゃったんですが、これからもいろんな役をやりたいのでこれから少し肉をつけていかないと。
テリー 現在撮影中の「ノーサイド・ゲーム」の現場はいかがですか。
西郷 僕は社長室とか大会議室のシーンが多いから、思ったよりは楽ですよ。
テリー 見てると、長ゼリフが多いじゃないですか。
西郷 ああ、初日から4分ぐらいの長いセリフがありましたね。しかもそれをぶっ通しで、アングルを変えて5~6回やるんです。
テリー 僕がそれをやれって言われたら、たぶん泣いて逃げちゃいますね。
西郷 若い時は自分でも驚くぐらいセリフが入ったんですけれど、この年になると難しくなりますね。覚えるのに昔の10倍ぐらい時間がかかってるんじゃないかな。
テリー 全部頭に入れて臨むんですね、偉いなァ。丹波哲郎さんみたいに、そこらじゅうにセリフを書いた紙を貼ったりしないんだ。
西郷 それ、三木のり平さんもやってましたね。生放送で共演した時、僕に小声で「そこをどけ!」って言うので何かと思ったら、のり平さんのセリフが書かれた紙が僕の体で見えなくなっていた(笑)。
テリー 共演者も達者な方が多いですよね。大泉洋さん、上川隆也さん、松たか子さん‥‥。
西郷 そうなんですよ。みんな特別な人たちだから、僕も負けないようにしないと(笑)。
テリー これから演じてみたい役柄なんかはあるんですか。
西郷 年齢的に役柄は限られてきましたけど、政治家はまた演じてみたいかな。表と裏の顔を使い分けて、カッコいい面もあれば人間臭い面もあるじゃないですか。そういうところに魅力を感じますね。
テリー 映画の「小説吉田学校」で田中角栄を演じていますが、今演じてみたい政治家の方っています?
西郷 うーん、今はいないかなァ。角栄さんをやっちゃうと、どうしても目が肥えてしまって。
テリー ハハハ、なんとなくわかります。じゃあ、思い切って悪役なんてどうですか。
西郷 ああ、にっこり笑ってすごいことをする、なんていうワルはいいですね。そういうギャップがある役は演じてみたいな。
テリー 年相応の役もいいですが、僕としてはまた御三家の華やかなステージも見てみたいですね。僕らも含めて、あの時代を生きてきたファンへの励ましにもなるじゃないですか。
西郷 もちろん、機会があればやりたいですね。20年くらい前に3人で久々に集合して全国ツアーをした時、僕らが出て行ったら客席から地響きみたいな歓声が聞こえたんですよ。橋さんなんて「デビューした時でもこんな反応はなかった」ってビックリしていましたから。3人が元気なうちに実現するといいなァ。
テリー ですよね、僕も楽しみにしています!
◆テリーからひと言
どこまでも本当に真面目な人だよね。いつまでも体を大事にしてもらって、また御三家が元気に並んでいるところをファンに見せてください!