今年も「24時間テレビ」(日本テレビ系)の放送とかぶせるように8月25日深夜0時から、あらゆるマイノリティのための情報バラエティ番組「バリバラ」の特別番組「【生放送】2.4時間テレビ 愛の不自由、」(NHK Eテレ)が放送された。
「24時間テレビ」のパロディ特番として「バリバラ」が生放送されるのは今回で4回目。放送時間を2時間24分間=2.4時間という半端な長さに設定し、愛知県で物議を醸し中止になった「あいちトリエンナーレ」の“表現の不自由展・その後”を意識して「展」を「、」に換え、タイトルから攻めの姿勢を示した。
番組冒頭からMCを務める山本シュウから色香あふれる「ビーム」を出してと、コメンテーターの1人として出演していた現役で夜の大人のサービス嬢としても働いているタレントの山村茜が声をかけられる。と、彼女が、胸元の開いた衣装からピンクのシールでトップだけを隠した左側のバストをボロンと取り出し、視聴者の度肝を抜いた。
今回のテーマは恋愛や性的行為。車いす利用者同士のカップルだが入れるホテルがなかった、みんな障がい者にやさしくはしてくれるがやらしくはしてくれないなど、番組に寄せられた声とともに進行していたが、1時間ほど経った頃、公式ツイッターに寄せられた〈愛の不自由、愛はボクを救うの?〉などと訴えを綴った障がい者である視聴者からの投稿があり、内容に変化が起きてくる。
日本の性教育の遅れを指摘する声から、コメンテーター出演していた脳性まひを持つ社会福祉士・玉木幸則氏が、デンマークでは小学校1年生から子どもを作ることや性的行為を楽しむことを教えていると紹介。また、公費を使って1回のみ性的行為を経験させてくれるサービスもあると紹介し、スタジオからは感心する声が。さらにクィア(性的マイノリティ)の白人女性2名からの「あえいでみなさい」のかけ声とともに、出演者たちがあえぐことになり、この女性2名と一緒に心は男性で身体は女性の芸人・万次郎による「筋肉体操」をパロディ化した「ジェンダー体操」が披露されるなど、心を開いてしなやかでいれば、誰でも幸せになれるとのメッセージが伝えられた。
ほかにも性的欲求が湧かないアセクシャルと呼ばれる女性からの「この先、子どもを持たないつもりの自分がどんな目で見られるか不安」といった悩みや、結婚してから女性になった夫との婚姻関係はそのままに、その恋人とも絶妙なバランスで良好な関係を継続している3人が紹介されるなど、視聴者は自然に「愛とは何か」を考えさせられることとなった。
「コメンテーターの1人だったYOUも笑える思い切りのいいあえぎ声を披露。男性が全脱ぎした時は『そういう感じなんだ、ふうん』と事実を受けとめながら見ているなどと私生活を明かし、番組を盛り上げていました。過激な言動をしなくても“攻めた”内容の番組で浮くことのなかったYOUに、熟練の技を感じました」(テレビ誌ライター)
来年の「バリバラ」特番も期待したい。