北朝鮮の挑発・攻撃手段としては、今回のようなミサイルにばかり目が行くが、その脅威に匹敵する「潜伏テロリスト」の存在は、あまり報じられていない。前出・韓国ジャーナリストは、次のような話を口にするのだ。
「今、日本国内には北朝鮮から密入国した40人以上のテロ工作員が潜んでいます。日本語を流暢に話し、表向き日本人として生活するなど、社会に溶け込んでいるのです」
朝鮮総連に通じる別のジャーナリストは、
「40人どころか、もっとたくさんいる」
と言うのだが、
「彼らが考えているのは、灯油数十リットルを隠し持って大ターミナル駅‥‥例えば東京駅に2人侵入し、2カ所に分かれる。駅は誰でも入ることができる場所で、怪しまれることもない。そこで一瞬にして火をつけ、大規模火災を起こす。そして人込みに紛れてアッという間に逃げてしまうのです。あるいは(ライフル銃の)カラシニコフで無差別殺人をするとか」(前出・韓国ジャーナリスト)
阪神大震災時、大火災に見舞われた神戸市長田区の瓦礫の中から、北朝鮮工作員のものと見られる迫撃砲やカラシニコフが発見された。そうした武器が今も工作員の間で流通している、と。前出・外信部記者は、さらにこんな恐ろしいことも言うのだ。
「テロの目的は、日本に対する威嚇です。駅放火などのほか、野球場で爆弾テロを仕掛けることも考えられる。細菌兵器については、公安がどれだけ把握しているか疑問です。サイバーテロもあります。都市銀行のネットバンキングを全て潰すのです。最悪の場合、ATMが全休止するかもしれません。日本はパニック状態に陥ります」
実例もある。3月20日、韓国の放送局(KBS、MBC、YTN)と金融機関(農協、新韓銀行、済州銀行)に対するサイバーテロが行われた。韓国当局の調査の結果、北朝鮮で使用されるIPアドレスを使ってアクセスし、ウイルスをバラまいていたことが判明しているのだ。
先に、金正恩体制で度重なる人事異動、昇降格が実施されたことを書いた。そこで日本に潜伏する工作員の親玉、つまり軍上層部がもし降格、粛清されていたとしたら‥‥。その手下たる工作員は北朝鮮にもう戻ることができない。戻れば処刑されるだけだからだ。
「政治的メッセージを残して自爆テロ、というのもありえますね」(前出・外信部記者)
北朝鮮有事は常に「そこ」にあるのだ。