こちらの「桜」は、咲ききらずに散ってしまうのか──。人気女優・綾瀬はるか(28)をヒロインに迎えてスタートしたNHK大河ドラマ「八重の桜」の視聴率が、下降の一途だ。背景を探ると、綾瀬本人も困惑する意外な理由があった。
「今年1月6日に放送された第1話こそ視聴率21.4%でしたが、第2回以降の20%超えは1度もなし。徐々に下がり続けて、4月7日放送の第14話では、11.7%という1桁台に迫り、危険水域に達しました。しかも、テレビ東京の街歩きバラエティ番組『モヤモヤさまぁ~ず2』の12.8%に負けるという不名誉なオマケ付きです。局内でも『こりゃマズイだろ!』という声が多数上がっています」
そう語るのは、NHK関係者。「八重の桜」といえば、NHKが一昨年3月11日の東日本大震災を受け、制作をスタートさせた特別な作品だ。綾瀬演じる八重は、女だてらにスペンサー銃を持って戊辰戦争を戦い、「幕末のジャンヌ・ダルク」と呼ばれた人物。明治維新後は京都へ移り、アメリカ帰りで同志社大学を興した新島襄と結婚、日清・日露戦争時は篤志〈とくし〉看護婦として名乗りを上げ「日本のナイチンゲール」と言うべき活躍を見せた。その大胆な決断と行動力に満ちた八重の半生を力強く描こうと、映画用のカメラまで投入し、一大プロジェクトがスタートしたのだ。
ところが、いざ始まってみると、思わず“早送りしてしまいたくなる出来”と斬り捨てるのはライターの吉田潮氏だ。
「私も含めた多くの視聴者、特にアサ芸読者のオジサマたちは、綾瀬に期待して見ているのに、全然、物語の主軸になっておらず登場シーンが少ない。加えて、他の登場人物が多すぎ、ひとりひとりのキャラが浮かび上がってこない。物語の展開も平板で、八重の兄役の西島秀俊(42)の肉体美をやたら強調する演出や、その西島と、八重の最初の夫役の長谷川博己(36)のどこか“ボーイズラブ”的雰囲気の演出に違和感を覚えます。歴史好きの根っからの大河ファンも、綾瀬好きの新たな視聴者も、両方取りこぼしている感じがしますね」
前出・NHK関係者も不安げにこう話す。
「“復興”“綾瀬”“幕末”と、ヒットを予感させる要素を盛り込めたことに満足して油断し、肝心の中身がおろそかになったのでは‥‥。局内でも『主人公が八重というのは、地味すぎないか?』という声が早くから上がっていましたが、綾瀬を起用し、脇も豪華な役者で固めた。今回は1話当たり民放の倍以上制作費をかけていますが、主役級がそろいすぎ、彼らを使わないわけにいかなくなり、結果、綾瀬の出番が減ってしまった。そのため話が散漫になっているという局内の声もあります」
当の綾瀬はこの事態にどんな思いでいるのか。
「八重を演じるに当たり、当初、綾瀬は1日120回の腕立て伏せをしたり、5キロもある銃を使いこなせるように1日何時間も練習してきました。現場では撮影中以外でも会津弁を話し、『やれることは全部やりたい』と意気込んでいた。ところが最近は、自分以外の役者のシーンが多く“待ち”の時間が長く『私の出番をもっと増やしてくれれば‥‥』と、漏らしているそうです。綾瀬の周囲も『綾瀬の露出自体が少なすぎるのに、低視聴率の責任を負わされたらたまったもんじゃない』と不満を口にしていました」(芸能関係者)
前出・吉田氏が再び言う。
「どうも新島襄と再婚して新島八重になる前の八重に関する資料はほとんどないらしいんです。それで綾瀬以外の人物でもたせようとしているのかもしれませんが、それならあの時代の男性社会の中でのし上がるだけの女性を裏付ける大胆な演出があってもいいはず。すごく腹黒くて計算高い女だったとか、オンナを武器に次々に寝技に持ち込むとか。まあ、NHKですし、そこまでは無理でも、視聴者を納得させるだけの背景を作り出すのがクリエーターの仕事。早く、綾瀬のハンサムウーマンぶりを大胆に見せてほしいですね」
八重の“大胆さ”に負けない、作り手の勇気が必要かもしれない。