猛烈な腹痛が起きて、病院に駆け込んだら「尿路結石」と診断されたという話は周囲で聞いたことがあるだろう。しかし、尿路結石だから必ず激痛を伴うというわけではない。むしろ自覚症状はまったくないのに、健診の超音波検査で結石が見つかる人が最近では増えている。
尿路結石は、尿の通り道である腎臓、尿管、膀胱、尿道に石ができる病気。日本人には、腎臓と尿管に結石ができる「上部尿路結石」が95%と大多数を占めている。主な症状は、脇腹から下腹部にかけての激痛や血尿などだが、痛みを伴うものと伴わないものの差はできる「場所」が大きく関わっている。
例えば、尿管に結石がある場合は、石が詰まって尿の流れが悪くなるため、背中や脇腹に痛みが出ることがある。この場合、痛み自体は軽いものから激痛までさまざまで、血尿や吐き気を生じる場合もある。さらに、尿の流れが悪くなって細菌感染症を起こしてしまうと、結石性腎盂腎炎という命に関わる重病を引き起こす場合もある。
一方、腎臓に結石がとどまっている状態では、痛みはほとんど感じない。ただし、放置していると腎機能が低下するおそれもあるので、定期的な検査は欠かせない。
尿路結石は男性の7人に1人がなると言われており、特に働き盛りの30~50代の発症率が高い。
原因は食生活や仕事のストレス、遺伝などさまざまな要因が絡み合って発症すると考えられている。中でも食生活の欧米化が大きな理由だ。
尿路結石のもととなる成分「シュウ酸」はホウレンソウやレタス、ナッツ、緑茶や紅茶、コーヒーなどに多く含まれる。とはいえ、これらを摂取しないというのは無理なので、魚などのカルシウムを含んだ食材と一緒に食べることで便と一緒に排泄されやすくなるという。尿路結石にならない食事の摂り方から心がけたい。
田幸和歌子(たこう・わかこ):医療ライター、1973年、長野県生まれ。出版社、広告制作会社を経てフリーに。夕刊フジなどで健康・医療関係の取材・執筆を行うほか、エンタメ系記事の執筆も多数。主な著書に「大切なことはみんな朝ドラが教えてくれた」(太田出版)など。