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天才テリー伊藤対談「船山基紀」(4)故ジャニーさんと同じ空気を感じる

テリー 40年以上のキャリアを持つ船山さんから見て、最近の音楽業界はいかがですか。

船山 今ではパソコンを使えば誰でも曲を作れる時代になりましたし、ソフトで作るからこそ、思ってもいないような音楽が生まれてきていますよね。昔は人が楽器を演奏する前提で曲を作りますから、その範囲内でしか発想ができなかったんですよ。

テリー あぁ、なるほど。打ち込みだと、人ができない演奏も可能ですからね。でもね、船山さんのようなプロフェッショナルは音楽の基礎や理論もしっかり学んでいるし、それが曲の深みにつながっていると思うんですよね。

船山 まだ僕が業界で生き残っているのは、今テリーさんがおっしゃった部分が大きいのかもしれませんね。例えば、去年手がけたKing&Prince(キンプリ)の「シンデレラガール」というデビュー曲。これは曲がほぼ完成しているところで、ジャニー(喜多川)さんから僕のところへ依頼が来て「これだけではヒット曲としてはちょっと足りないから、なんとかしてほしい」と相談されたので、僕が曲を構築し直して完成させたんです。

テリー キンプリって、ジャニーズの中でもポスト嵐の位置にいる大事なグループですよね。それを任されるなんて、よっぽどジャニーさんに信頼されていたんですね。先日亡くなられましたが、どんな印象を持たれていましたか。

船山 ジャニーさんは「もっと派手にしてよ」「これじゃ地味だよ」みたいな感覚的なことしかおっしゃらなくて、音楽のプロがこだわる「カッコいいコード」みたいな難しいことはいらないんだよ、と言う。大衆音楽への目線を大切にされる方だったので、ものすごく鍛えられましたね。

テリー ジャニーさんって大御所なのに、まったく偉そうなところがなかったのがすごかった。今日初めてお会いした船山さんにも、同じ軽い空気を感じますよ。そういう伝統というか、大切なものはしっかり継承していかないといけませんね。

船山 ええ。パソコンで作れる音楽はある意味、行くところまで行っちゃっている、と僕は思うんですね。本当に何でもできて、やれないことってないんです。

テリー でも、そこからまた新しいものを作っていかないといけない?

船山 その壁を突き破るのは、やっぱり「人間力」だと思うんです。機械の生んだテンポではない、人が生み出す、新しく大衆に受け入れられるような音楽を目指していきたいと思います。

テリー 堂々たるキャリアでまだこの意欲、本当にすごいな。あと近々、渡辺真知子さんと一緒に出演されるコンサートがあるそうですね。

船山 そうなんです。彼女とはデビュー曲「迷い道」からのつきあいですけど、音楽的にもすごく気が合うんですよ。今回声をかけてもらったので、彼女のキャリア前期の曲を中心につなげて、僕がバックを指揮したり、一緒にトークをしたり、みたいな内容になると思います。

テリー 僕も去年、渡辺さんのコンサートを見ましたよ。ものすごく歌がうまくて、まだまだ声が出ていますよね。

船山 出ていますよ~、彼女の声は、ふだんから大きいんです(苦笑)。

テリー せっかくだから、船山さんも歌いますか。

船山 いやいや、勘弁してください。そういえば僕は歌手のイルカと同級生で、同じ音楽部だったので一緒に歌ったことがありますよ。

テリー ええっ、何ですか、それは。まだまだ気になる話が出てくるなァ。

◆テリーからひと言

 日本歌謡界の大御所なのに、まったく偉そうな雰囲気がない魅力的な人だな。目指す新しい音楽が、令和に歌える恋愛ソングだとうれしいな。

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