お笑い芸人が売れる手段のひとつに、メジャーコンテストの優勝がある。ピン芸人の「R-1ぐらんぷり」、コントの「キングオブコント」、漫才の「M-1グランプリ」といったメジャーコンテストで優勝すれば、世に出るチャンスを手に入れたも同然だ。
ところが、瞬発力はあっても爆発力に欠ける覇者がいる。
「笑い飯が、その最たる例でしょう。『M-1』がスタートした翌02年から優勝する10年まで、9大会連続でファイナリストになった最高記録保持者。ですが、優勝した後も活動拠点を地元・関西のままキープしたことがアダとなり、旬が過ぎてしまい、全国区タレントになり損ねました」(エンタメ誌ライター)
笑い飯が有終の美を飾った「M-1」は、10年でいったん幕を閉じた。その間、覇者より準優勝のほうが注目される現象があった。08年はNON STYLEよりオードリー、10年も笑い飯よりスリムクラブ。マスコミが飛びついたのは、それまでまったくノーマークだった期待の新星のほうだったのである。
「そして16年に、ある法則が生まれました。秋の『キングオブコント』でライス、再開後の冬の『M-1』で銀シャリが優勝したことで、“米芸人”は弱いというものです。フリートークがヘタなライスは、優勝後も劇場芸人のまま。コンビネーションは抜群ながらも、番組のメインMCを担うまでにはいたらない銀シャリも、伸び悩みの状態が久しく続きます」(前出・エンタメ誌ライター)
飯、ライス、銀シャリ。吉本興業の“米芸人”は、テレビタレントとしてのオーラが欠ける。令和初となる年末の「M-1」では、良質な“おかず”が爪痕を残してほしい。
(北村ともこ)