日本で最も有名な私立探偵といえば、金田一耕助をおいてほかにない。おどろおどろしい殺人事件には、色と欲が伏線としてちりばめられている。
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金田一ブームを巻き起こしたのは、角川映画の第1作でもあった「犬神家の一族」(76年)。石坂浩二が演じた「ボサボサ頭の金田一」は、その後のリメイク作においても継承された。同作では島田陽子(66)や佳那晃子(63)のバストがチラッと見えるシーンが見られ息をのんだ。
「祟りじゃ~っ!」のキャッチコピーが流行語になった「八つ墓村」(77年、松竹)は、連続殺人の犯人を妖艶な小川眞由美(79)が演じた。ベッドシーン事情に詳しい映画ライター・松井修氏によれば、逃げ込んだ洞窟で、萩原健一の上に乗る形で激しく交わっていたという。「小川はこの2年後にも『復讐するは我にあり』(79年、松竹)で緒形拳を相手に上になったり下になったりの激しいベッドシーン」を見せたそうで、最盛期のベッドシーンを見せてくれた、と振り返る。この「八つ墓村」では渥美清が金田一役。そして西田敏行が一度だけ金田一に扮した「悪魔が来りて笛を吹く」(79年、東映)では、「近親相姦」が物語の鍵を握った。兄と妹が子供を作ったことから悲劇が始まるが、妹役を演じたのが鰐淵晴子(74)である。松井氏によれば、実の兄との禁断のベッドシーンでは、ハーフ特有の白肌と豊かなバストが「鮮烈」だったといい、男女の営みについて、「貪欲でありながら、どこか隠しているという、淫靡な絶妙さを鰐淵が熱演していました」という。
本作は昨年、BSプレミアムでもドラマ化されている。金田一に吉岡秀隆、椿夫人には筒井真理子(59)が扮したが、NHKと思えぬハードな描写が話題になった。
筒井は実の弟(原作から設定を変更)が若い娘を犯しているそばにいて、クライマックスを迎えるところで娘を突き飛ばし、自分が弟の体にまたがり、あえぐ。さらに、長らく不貞関係にある一族の主治医には立ち姿勢で貫かれるという禁断のシーンにも挑んだ。
鹿賀丈史が金田一役を演じた「悪霊島」(81年、東映/日本ヘラルド)は、岩下志麻(78)がヒロイン。かつての恋人がいなくなったショックから、男を求めてうつろう巴御寮人を演じた。前出・松井氏によれば、岩下は全脱ぎこそないものの、「妖艶なカラミをやらせたら右に出る者がいないフェロモンをまき散らす」演技を見せ、着物の下に指をはわせて、絶叫しながら自分で慰め、失神するという「極上のシーン」を見せたという。ちなみに本作の監督は、夫である篠田正浩だ。
最後は、超大型台風が列島に深刻な被害をもたらした10月12日にオンエアされた「八つ墓村」(BSプレミアム)である。前出の映画版で小川眞由美が扮した森美也子役に真木よう子(37)が挑戦。かつてショーケンが演じた辰弥役・村上虹郎を色香で陥落し、夢中にさせる。
白眉だったのは真木が村上の背中の古傷に舌をはわせるシーン。まるで蛇のような長さと動きで、ナメ回すだけで村上がイキそうになるほどの超絶技巧を見せた。真木よう子にとって、久々に会心の役だったのではないか…。