国会閉幕当日の8月7日に勃発したみんなの党の分裂・内紛劇。渡辺喜美代表が、日本維新の会や民主党の一部議員との連携を独自に模索する江田憲司前幹事長が気に入らないからと、更迭した一件である。その裏には「渡辺喜美 立法事務費、公金の私物化」と題する一枚の「怪文書」が暗躍していた──。
〈みんなの党の立法事務費。(議員一人当たり月額65万円/年間780万)。渡辺本人は自分の懐に入れているが他の議員は党に召し上げ。しかし、それを政治資金収支報告書の「収入」に上げていない。その上でこの年額1億円を超える公金を渡辺個人が私物化〉
こんな書き出しで始まる「怪文書」が撒かれたのは、先の参院選前のことだった。内容は具体的で、
「党の経理関係者しか分からないような数字が並んでいる」(政治部デスク)
渡辺代表の私的な金遣いの糾弾はさらに続く。
〈年間17億円にものぼる政党助成金(税金)を一人で恣意的に運用。他の党が当然経ている幹事長決裁、経理局長決裁等の党内決裁も一切ない〉
そして参院選の戦いぶりについても、黒い舞台裏を暴露。
〈参院選公示日直前、ろくでもない候補者を党の決定も経ず、続々と渡辺が勝手に擁立したが、その時のセリフが「2000万出す。自己負担はいらない」という丸抱え〉
〈愛知選挙区で当選した薬師寺道代には「1000万円出すから、甥の渡辺みちたろうを比例でよろしく」と代表が要請し、薬師寺は「法定ビラ」に「比例代表は渡辺みちたろうに」と明記。法律違反との指摘も〉
これが事実なら、まさに公私混同。党関係者が嘆息する。
「渡辺代表は、この怪文書を流したのが江田氏だと思い、ビビッてクビを切ったんです。江田氏は一時、渡辺代表の党経費の使い方に不満を表明していましたからね。実際は党内部からの告発に基づいて、他党‥‥おそらく自民党周辺の人間が、渡辺代表と江田氏の仲を決定的に割くために書いたもの。まんまとそのワナにハマッた形です」
こんなザマでは野党再編、自民党追い込みなど、遠い夢となりかねない。