だが、稲森のどこか陰のあるエキセントリックな艶技が一気に開花したのは、18年に放送されたディーン・フジオカ主演の「モンテ・クリスト伯」(フジ系)での怪演だった。テレビ誌編集者によれば、
「作品は視聴率こそ一桁で低空飛行でしたが、主役のフジオカのこれでもかという復讐劇とどんでん返しの連続で、今も人気の高い作品。中でも稲森は新井浩文が演じた建設会社社長の妻役で、警視庁の刑事部長役の高橋克典の元愛人という、カギを握る役どころ。現在は新井の公判中ということもあり、封印された幻の作品です」
ドラマの中で稲森は、社長夫人という設定。第3話では、自宅を訪れた部下の男性に、
「西山さん、いつものお願いしますね」
と意味深なセリフを残す。次の場面では、夫の新井が就寝する中、黒のキャミソール姿の稲森がベッドの横にたたずむ。スレンダーながらキャミソールからのぞく真っ白な胸の谷間はボリュームこそないものの、お餅のような弾力が一目瞭然。30代の頃のやせすぎたボディよりもまろみを帯びてまさに熟れ頃と言える肉感だ。そんな彼女が、旦那の寝ている間に向かうのは同じフロアにあるマンションの一室。待ち受けているのは、二人の若い男。ガウンを脱がされると、
「キスはいらない」
と命令。そのままベッドに押し倒され、3Pに突入するのだ。一瞬のバックショットでは、黒のキャミソール越しの黒ブラも見せつけるなど、挑発的な痴女を熱演。覆いかぶさる二人の男にむしゃぶりつく稲森は、かなりの好色ぶりだ。
さらに第4話では、そのご奉仕3Pの模様が赤裸々に映像化されている。黒のキャミソール姿で寝そべる稲森のふくらはぎから徐々に、男の舌愛撫が続く。別の男は耳たぶからうなじのあたりに舌をはわす。すると稲森は体をくねらせ身悶えるのだ。ただ、どこか虚空を見つめるような稲森の視線もまた悩ましい。
さらに、年下男に貢いだ彼女が結ばれる場面では、バックショットながら、ブラを外され艶かしい背中が画面いっぱいにアップになるカットも。そのまま首筋に顔を埋められ、うっとりとする憂いのある表情は、まさに熟女のフェロモンがムンムンにあふれているのだ。しかものちに、この年下男が自分の息子であったと知らされる、いわば「近親相姦」という設定だった。
「稲森はこのドラマではポスターにも登場しないほどの扱いでしたが、地上波ギリギリの濡れ場で一躍、存在感を発揮。『隠れ濡れ場女王』と言われるほどになった。実際、94年の連ドラデビュー以来、26年間連続でドラマに出続けており、再ブレイクを果たしたのも彼女の堂々たる艶技があってこそでしょう」(テレビ誌編集者)