新元号となった2019年は、芸能界の薬物汚染がクローズアップされた1年だった。中でも、大河ドラマ出演を控えた沢尻エリカの逮捕は衝撃的だった。保釈後の年末年始は、心療内科専門の病院で過ごすことになりそうだが、一方で、薬物の入手ルートを巡って「オランダルート」の存在がクローズアップされているのだ。
19年11月16日に麻薬取締法違反で逮捕された沢尻エリカ被告(33)。その後、12月6日に保釈されたあとは、都内にある大学病院に直行。VIP個室に籠城し、完全に周囲をシャットアウトした状況を続けてきたのだが‥‥。
「12月中旬に入って関東にある心療内科の病棟に転院しています。この施設は薬物依存者の治療に定評があるだけでなく、プライバシーを確保できると多くの有名人も世話になっている病院。最近でもTOKIOの山口達也が入院するなどしていて、沢尻をマスコミから遠ざけるためにも転院させたといいます。恐らく入院期間も長期に及びそうで、春先までは治療に専念することになりそう」(芸能関係者)
一方、12月17日には、沢尻の元恋人で、薬物の入手先とされる、横川直樹容疑者(38)が勾留期限で釈放されるなど、沢尻逮捕で揺れた「芸能界汚染ルート」はこのまま収束するかに思えた。しかし、水面下では、沢尻ルートを巡って、新たな展開を迎えていたのである。捜査関係者が明かす。
「大阪府警関西空港署は、MDMA約9900錠(末端価格約3980万円相当)をスーツケースの底に隠して密輸したとして、麻薬取締法違反の疑いで、ドイツ国籍の自称トラック運転手ヒルミャー・カイ容疑者(47)を逮捕しています。このヒルミャー容疑者と沢尻被告の入手ルートとの関連性に注目しているのです」
事件は19年11月17日に発覚した。オランダ発大阪行きのフライトで来日したヒルミャー容疑者の荷物を不審に思った税関職員がX線で検査したところ、大量のMDMAを発見。事情聴取で、来日目的など不審な言動が多かったことから、ヒルミャー容疑者が氏名不詳の人物と共謀してMDMAを営利目的で持ち込んだと判断したのだ。
「現在、日本で流通するMDMAや覚醒剤の多くはヨーロッパ経由で日本に持ち込まれている。中でもオランダルートは、MDMAなどのパーティードラッグが持ち込まれているとされていて、捜査関係者も警戒を強めているやさきの摘発でした。しかも沢尻被告の周辺には、オランダ在住の日本人がいて、この人物は以前、捜査当局が薬物を違法に扱っている可能性があるとして徹底マークしていた。結果的に日本を離れて、現在はアムステルダムを拠点にしていることから、この関係者とヒルミャー容疑者との間に接点がないか注視しています」(捜査関係者)
ドイツ人であるヒルミャー容疑者は、ドイツからオランダのアムステルダムを経由して大阪に来日。羽田空港や成田空港を渡航先に選ばなかったのは、厳しい荷物検査のある首都圏を避けて、あえて大阪を選んだ公算も強いという。背後には日本の手引き役がいたと見て、慎重に捜査を進めているというが、社会部記者はこう明かす。
「オランダルートでは、世界中のパーティーシーンを巡るバックパッカーや遊び人を運び屋に仕立て上げて薬物を流通させているんです。そのため、なかなか流通元まで足がつかない。沢尻が逮捕された際も、クラブでの乱痴気ぶりが喧伝されたが、そのパリピのネットワークがMDMAの薬物流通の大きな担い手であるのは間違いない。MDMAは錠剤の形が製造先によって違うため、今後は照合作業も視野に入れているそうです」
2020年初頭には大きな動きがあるかもしれない。