1月24日金曜日に行われる今年の春の選抜高校野球の出場校選考会。果たして、どんな高校が甲子園に登場するのか。
西日本は激戦区の近畿地区から。一般枠での出場枠は例年6枠。となれば、まず優勝校の天理(奈良)と準優勝校の大阪桐蔭、さらに「ベスト4で敗退」組の履正社(大阪)と智弁学園(奈良)も安泰だ。残る2校は、通常ならばベスト8で敗退した4校の中から選ばれることを考えると、まず浮上するのが明石商(兵庫)である。
大阪桐蔭の前に3‐4と無念の逆転負けを喫したものの、昨年の甲子園で春夏連続ベスト4進出を果たした際の原動力が健在。最速151キロ右腕・中森俊介と1年春から不動のトップバッターとしてチームを牽引する来田涼斗という投打の主軸がチームを引っ張る明石商は、選出されれば優勝候補の一角に推されること確実の高いチーム力を誇るのがアピールポイント。
もう1枠だが、有力なのが県1位で近畿大会に進出した智弁和歌山だ。というのもベスト8で敗退したほかの2校、奈良大付が天理の前に0‐14、京都翔英が履正社に3‐10と、ともにコールド負けを喫しているからだ。とはいえ智弁和歌山も準々決勝では智弁学園にあわやコールド負け寸前まで追い込まれ、結果13‐17という大乱打戦の末に敗退しており、選考の際、こうした試合運びの粗さが指摘される可能性は大。地域性を考えた場合、大阪2、兵庫1、奈良2、和歌山1でバランスが取れているし、他校を見渡しても智弁和歌山よりも推す材料のあるチームは皆無だ。すんなりとはいかないまでも智弁和歌山が消去法で選出されることになりそうだ。
続く中国地区と四国地区は、2地区合わせて5枠というのが慣例。つまり、両地区の3校目に選ばれたチーム同士が最後に比較検討されるシステムである。
中国地区はまず優勝校の倉敷商(岡山)と準優勝校の鳥取城北(鳥取)は順当に当選。注目の3校目だが、準決勝で鳥取城北に6‐13で7回コールド負けを喫した創志学園(岡山)よりは倉敷商相手に延長11回のすえ4‐7で惜敗した広島新庄に軍配が上がる。創志学園は昨年も中国大会の準決勝でコールド負けを喫しており、今年はその雪辱を狙っていたのだが、今回も厳しそうだ。
かたや四国地区も優勝校の明徳義塾(高知)と準優勝校の尽誠学園(香川)は確定だ。特に県3位で四国大会に駒を進めた明徳義塾は初戦から8‐1(7回コールド)、8‐1、16‐1と強力打線で相手を次々に粉砕し、決勝戦でも尽誠学園相手に8‐1と余裕の勝利。破壊力のある明徳義塾打線は本番の選抜でもライバル校にとっては大きな脅威となろう。
そして、残る3校目だが、準決勝で敗れた2校はともに高知県勢力。明徳義塾に1‐16で5回コールド負けの高知中央と尽誠学園に2‐13で6回コールド負けの岡豊だ。この2校の比較になれば、県大会決勝で直接対決し、7‐1で勝利している高知中央が断然有利。最後はこの高知中央と中国大会ベスト4の広島新庄の争いになると思われる。素直に考えれば延長戦で中国王者に惜敗した広島新庄が選ばれるだろうが、実は高知中央にもアピールポイントが。それは、県大会準決勝で四国王者の明徳義塾に11‐10という大打撃戦のすえ、鮮やかな逆転勝利を飾っている点だ。さらに選出されれば春夏通じて初の甲子園でもある。実績では広島新庄が優位だが、高知中央は県大会で四国大会チャンピオンに勝利+初出場という話題性で、かすかに可能性のある逆転劇に期待したいところだ。
西日本最後となる九州地区は例年4枠。決勝戦で優勝を争った大分県勢の明豊と大分商、そしてこの2校に準決勝で敗れた創成館(長崎)と鹿児島城西の4チームでほぼ確定だろう。あえて波乱要素を挙げるとすれば、準Vチームの大分商か。というのも県大会決勝と九州大会決勝で明豊に連敗を喫しているだけでなく、県大会では8‐16だったスコアが九州大会でも5‐13と大差をつけられたままだったからだ。地区大会準V校の落選はさすがにありえないが、優勝校の明豊との対戦成績でいうと準々決勝で6‐7と最終回に無念の大逆転負けを喫した沖縄尚学の存在が不気味に浮上してくる。8回終了時まで6‐3と明豊からリードを奪った同校の健闘が評価されれば、準決勝で大分商に3‐6で敗れた鹿児島城西の当選が危うくなろう。もし沖縄尚学が選出された場合、九州本島から3校、沖縄県から1校と地域性のバランスが良くなる点も見逃せない。
(高校野球評論家・上杉純也)=文中敬称略=