今年の選抜大会は、投手よりも打者に高素材が多いとされるせいか、2ケタ得点を挙げて勝つチームが目立っている。そこで過去の選抜の打撃のチーム記録を調べてみた。
まずは1大会における最多本塁打記録だ。これは“KKコンビ”時代のPL学園で、84年第56回大会に放った8本。なんとこのうち1回戦の砂川北(現・砂川=北海道)で計6本が飛び出している。清原和博(元・巨人など)が1本、桑田真澄(元・巨人など)が2本放ち、KKだけで3本をマーク。ちなみにこの時のPL学園がマークした6本は1試合におけるチームの最多本塁打記録でもある。
1イニング3本塁打という選抜史上唯一の記録を打ち立てたのが11年第83回大会の九州国際大付(福岡)だ。初戦の前橋育英(群馬)戦の5回裏、先頭打者の2番・安藤彰斗がライトポール際に叩きこんで1本目。続く3番・三好匠(現・東北楽天)が左中間スタンド最深部へ運んで2本目。最後は5番・龍幸之介がライトポール際ギリギリに打ち込み、春の選抜史上初となる1イニング3本塁打を達成している。
1大会における最多安打は11年第83回大会で優勝した東海大相模が記録した。その内訳は1回戦の関西(岡山)戦で10安打、2回戦の大垣日大(岐阜)戦で20安打、準々決勝の鹿児島実戦で9安打、準決勝の履正社(大阪)戦で21安打、決勝戦の九州国際大付(福岡)戦で14安打。打ちも打ったり計74安打である。これが1試合最多安打なら、00年第72回大会1回戦の対丸亀(香川)戦で智弁和歌山が記録した24安打。試合も20対8で大勝している。
最後は得点記録だ。1試合最多得点は37年の第14回大会で滝川中(現・滝川=兵庫)が1回戦の浦和中(現・浦和=埼玉)との試合で挙げた27得点が最高記録。これが1大会での最多得点となると39年の第16回大会で優勝した東邦商(現・東邦=愛知)のなんと59得点。内訳は初戦の浪速商(現・大体大浪商=大阪)を20対1、2回戦の海南中(現・海南=和歌山)を13対0、準々決勝の北神商(現・神戸市立兵庫商業=兵庫)を13対1、準決勝の島田商(静岡)を6対1、そして決勝戦で岐阜商(現・県岐阜商)を7対2と全試合圧勝での優勝であった。現在、この記録をもし破るのなら、優勝するまでの全5試合で1試合平均12点を取らなければならない。果たしてこの記録を超えることの出来るチームは、今後現れるのであろうか。
(高校野球評論家・上杉純也)