昨年、大ヒットを記録し、「第43回日本アカデミー賞」で優秀作品賞を受賞した映画「翔んで埼玉」が2月8日に地上波で初めて放送される。
映画は埼玉県民なら誰もが知っている埼玉あるあるネタをたっぷりと盛り込み、映画館は爆笑のウズに包まれた。ただ、「埼玉県民以外にはわかりにくい」といった声も。それでも大ヒットにつながったということは、「埼玉あるある」が観客に受け入れられたということだろう。
爆笑シーンの中でも特に埼玉県民に大受けしたのが、「与野は黙ってろ!」の場面。ライバルの千葉との決戦にあたり、埼玉県民が一致団結してこれに臨もうと、話し合いを持つ。ところが一枚岩にはほど遠く、特に浦和市の代表と大宮市の代表が言い争いを始めてしまう。与野市の代表が二人の間に割って入り、落ち着かせようと奮闘。ところが浦和と大宮の代表から「与野は黙ってろ!」と一喝されてしまうのだ。
「埼玉県民なら大爆笑ですね。ただ、他の都道府県の人には何やらさっぱりでしょう。実はこの3市には因縁があるんです。特に浦和と大宮のライバル関係は埼玉県民ならよく知っています」(週刊誌記者)
浦和と大宮はどちらも「自分たちこそ埼玉県の中心」という自負があり、相手よりも上だと思っているのだ。
大宮は鉄道の要所で新幹線が停車。商業施設が多く、街そのものは浦和よりも発展している。
それに対して浦和は県庁所在地であり、Jリーグ発足当時に浦和レッズが誕生した(大宮アルディージャはJリーグ初年度には参加していない)。また文教都市として知られている。
「そんなライバル意識の強い2市と与野市が政令指定都市を目指して合併することになりました。この時、新たな市の名前をどうするか議論されたんです。大宮市は『大宮市』を、浦和市は『浦和市』とすることを主張。激しいつばぜり合いが繰り広げられました。一時は3市の市民による投票で決めようという話が出ました」(前出・週刊誌記者)
大宮市民は投票になれば住民が一番多い「大宮市」になるという目論見があったようだ。ところが、与野市は浦和市寄りの人が多く、浦和と与野の住民を足せば大宮とはいい勝負になる。勝敗のゆくえがわからないため、結局紆余曲折を経て「さいたま市」に落ち着いた。
そんな過去があったからこそ埼玉県民は「与野は黙ってろ!」のセリフに大爆笑してしまうというわけだ。この他にも埼玉県民にしかわからない細かすぎる「あるある」がたくさんある。2月8日の放送を観ながら、探してみてはいかがだろうか。