今週は東西でクラシック第一弾、桜花賞および皐月賞のトライアルレースが行われる。皐月賞のそれ、弥生賞ディープインパクト記念が中山のメインだ。
皐月賞と同じ舞台、距離で行われるだけに、本番を占う意味できわめて重要な一戦だが、それ以上にここで勝ち負けする馬は、その後の活躍も顕著である。ディープインパクト(GI7勝)を筆頭として、アドマイヤムーン(GI3勝)、ロジユニヴァース(ダービー)、ヴィクトワールピサ(GI3勝)など、スターホースとして羽ばたいていく馬が多く、まさにファンとしては目が離せまい。
今年もスター候補の呼び声高い素質馬がそろった。JC勝ちのエピファネイアを伯父に持つオーソリティ、そのエピファネイア産駒でデビュー戦を鮮やかな勝利で飾ったオーロアドーネ、強烈な強さで目下連勝中のサトノフラッグ、そしてホープフルS3着から巻き返しを期しての登場になるワーケアという面々だが、いずれの馬が勝っても納得がいく好素材馬ばかりである。
まずはどんな傾向があるか、データをひもといてみよう。
この重賞に馬単が導入されてからの過去17年間、その馬単での万馬券は3回(馬連2回)。この間、1番人気馬は9勝(2着2回)、2番人気馬は5勝(2着2回)。1、2番人気馬によるワンツーは4回あり、言ってみれば、比較的本命サイドの結果で収まることが多い。前述したように、それだけ厩舎期待の素質馬がそろうということだろう。
しかし、それでも穴党としては、やはり人気薄の馬に目を向けてみたい。中でも期待を寄せたいのは、アラタである。
未勝利を勝ち上がったばかりで芝2000メートルを2分5秒5と時計も平凡だが、レースはなかなかの好内容だった。
ここが4戦目となるが、使われつつ体重が増えており、特にしまいの脚は特筆に値するもの。これからどれだけよくなるかと期待を持たせるに十分で、見るものに実にいい印象を与えてくれた。
「まだ成長途上の段階で、これからよくなることは確か。楽しみな馬だね」
これはレースで手綱を取った大野騎手の弁だが、かなりの能力を秘めた馬であることは間違いなさそうだ。だからこそ、陣営としては強敵ぞろいのこの重賞にぶつけてきたのだろう。それだけに狙ってみる価値は大いにある。
近親にワンカラット(GIIフィリーズレビューなど重賞4勝)がいて、一族にもアナバー(GI2勝)がいる。母系は欧州の一流血脈で、バランスの取れたアカ抜けた好馬体から、かなりの大物とニラんでいる。1週前の追い切りも文句なく、好走必至とみた。
一方のチューリップ賞も顔ぶれがいい。2歳女王のレシステンシアを筆頭に素質馬ぞろい。それだけに難解だが、最も期待したいのは、チェーンオブラブだ。
前走のフェアリーSでも注目していたが、体重が前走に比べて10キロ減っていたことで、パドックではイレ込む姿も見られた。それでも鋭い末脚で2着を確保。力のあるところを見せてくれた。
この中間は落ち着きを取り戻して実にいい雰囲気。馬体もふっくらとして、体調は前走以上とみてよさそうだ。
曽祖母ヴェルサイユトリーティは、アラバマSなど米GI4勝の女傑で、こうした血統的背景からも能力はかなりのもの。勝ち負けになっていい。